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カテゴリー「軍事」の記事

2018年4月23日 (月)

航空母艦サン・パウロ退役を遅まきながら知りました

備忘録的に・・・
去る2月14日、ブラジル海軍の保有する唯一の航空母艦「サン・パウロ」が退役していたそうです。
私はこのところ、軍事関連は日露戦争以前の軍艦や装甲、兵器、戦術に興味の焦点が移ってしまっていて、現代の軍事事情にはホントに疎くなってしまっているのです。
なのでこの「サン・パウロ」退役の話も、先日5ちゃんの某スレで知って「えー!?」と思わずモニターの前で声を出してしまいました。

さてこの空母「サン・パウロ」、元々はフランス海軍が最初から空母として計画建造完成した初めてのクラス「クレマンソー」級の2番艦「フォッシュ」として1963年7月に完成。
フランス海軍の空母はそれまでイギリスから購入した軽空母「アロマンシュ」唯一隻。
小型の「アロマンシュ」(満載排水量約1万8千トン)が運用できる艦載機は、近代化改装を経てもなお亜音速のアキロン戦闘機(イギリス製シー・ヴェノム夜間戦闘機)をようやくというレベルでしたので、射出重量最大約23トンを誇るイギリス製BS5型蒸気カタパルトを装備する、超音速戦闘機の運用が可能な満載排水量三万トンの本物の中型ジェット母艦である「クレマンソー」と「フォッシュ」の二隻を手にしたことによってフランス海軍の洋上航空戦力は飛躍的に能力を向上し、実効的な洋上航空戦力の主柱としてまた戦艦「リシリュー」「ジャン・バール」に代わる大国フランスの威信の象徴として君臨してきたのです。
フランスは空母二隻体制を維持し続ける予定で、一番艦「クレマンソー」の後継艦として中型原子力空母「シャルル・ド・ゴール」(2001年就役、満載排水量約四万トン)を完成。
「フォッシュ」も当初は「シャルル・ド・ゴール」級二番艦で置き換えられる予定になっていました。
しかし中型とはいえカタパルト装備の原子力空母建造はフランスの国力にとってかなりの負担で、冷戦終結、ソ連崩壊後はいつしか二番艦建造も立ち消え。
建前として空母二隻体制は未だ謳っているようですが、現実にはその可能性はほぼ無いでしょう。
かくて後継艦を得る目処が全く立たないまま、「フォッシュ」はブラジルへ売却されることになります。
時に2000年11月、「フォッシュ」はブラジル共和国の威信の象徴たる空母「サン・パウロ」に転身して、第二の人生を歩むことになったのです。

さてブラジルという国は19世紀から周辺の地域大国であるアルゼンチン、チリと南米最強国としての威信を競い合っておりまして、かつては戦艦をそれぞれ保有していました。
第一次世界大戦直前の時期にはブラジルがド級戦艦をイギリスに発注すると、それに脊髄反射したアルゼンチンがアメリカにド級戦艦を発注、ならば我もとチリがイギリスに超ド級戦艦を発注という具合。
第二次世界大戦後は旧式化した戦艦の代わりに、アメリカが第二次大戦勃発直前に完成させた一万トン級軽巡洋艦「ブルックリン」級をこの南米三カ国に供与。
ブラジルとアルゼンチンはそれではまだ足りないとばかりに、イギリス製の軽空母を購入しています。
すなわちブラジル海軍の「ミナス・ジェライス」(1960年就役、満載排水量約二万トン)とアルゼンチン海軍の「インデペンデンシア」(1959年就役、満載排水量約一万八千トン)がそれで、双方共にジェット機の運用能力は持たず、「ミナス・ジェライス」はS-2トラッカー対潜哨戒機を搭載した対潜母艦として、「インデペンデンシア」はS-2に加えてレシプロの戦闘爆撃機F4Uを搭載する軽攻撃/対潜母艦として運用されていました。
アルゼンチン海軍はその後、オランダの国防費削減と国防政策変更、さらに機関室の火災によるダメージもあって早期退役の運命にあった軽空母「カレル・ドールマン」を購入し、「ベインティシンコ・デ・マヨ」(満載排水量約二万トン)と命名して「インデペンデンシア」に代わるアルゼンチンの威信の象徴に据えます。
「カレル・ドールマン」改め「ベインティシンコ・デ・マヨ」も元々はイギリス製の軽空母ですが、こちらは蒸気カタパルトとアングルドデッキ化の本格的な近代化改装をオランダ艦時代に実施済みで、アメリカ製A-4スカイホーク攻撃機を搭載する軽攻撃空母としてブラジル海軍の「ミナス・ジェライス」を完全に凌駕する南米諸海軍中最強の存在になったのです。
1982年に生起したフォークランド紛争でも、フォークランド奪還のために遠征してきたイギリス艦隊を迎撃しようとA-4攻撃機を爆装待機させていますが、機関不調の上に当日は風速が足りずに発艦不可能で出撃が叶わず、巡洋艦「ヘネラル・ベルグラノ」がイギリス海軍の攻撃原潜「コンカラー」に撃沈されたこともあり、危険を避けるためにアルゼンチン本土に退却して以後作戦の機会を得ませんでした。
その後「ベインティシンコ・デ・マヨ」はアルゼンチンの経済破綻もあって後継を得ることが出来ず、1997年に退役を余儀なくされています。
その結果、かつて南米で覇を競った所謂「ABC三カ国」で国家の威信としての大型艦艇を保有するのはブラジルのみになりました。
ちなみにチリは空母を保有することはなく、民主化後は切り札である銅の輸出で国富を上げて、陸ではドイツから余剰のレオパルド1、レオパルド2主力戦車を相次いで導入、海では大物を欲張らずに堅実に英蘭両国の余剰フリゲート艦を導入、空はアメリカから中古ではなく新品のF-16戦闘機を導入という具合に、極めて地に足が着いた堅実かつ強力な軍備の充実を行っています。

アルゼンチンが空母保有を事実上断念したために、この地域最大の水上艦の座に躍り出たブラジル海軍の「ミナス・ジェライス」ですが、元々は第二次大戦後半にイギリス海軍が建造を開始した老朽軽空母。
対地攻撃力も洋上防空能力も持たず、対潜用とは言ってもとても原潜に対抗できるような装備ではありません。
そんなところに降って湧いたフランス海軍の「フォッシュ」早期退役話です。
新型空母は欲しいが国内建造は困難だし適当な出物もないし・・・と悩んでいたであろうブラジルとしては速攻飛びつくのも当然の話だったでしょう。
グズグズしていると中国にかすめ取られませんしね。
かくて「フォッシュ」は「サン・パウロ」となり、「ミナス・ジェライス」に代わる南米の大国ブラジルの新たな威信の象徴になったのです。

こうしてブラジル海軍はその歴史上初めて本格的な洋上航空戦闘能力を獲得するに至ったのですけれど、肝心の艦載機は湾岸戦争時にクウェート空軍がフランス製のミラージュF.1戦闘機と共に主力と頼んでいたアメリカ製のA-4KU攻撃機。
アメリカ海兵隊用の最終量産型であるM型の準同型機なので、レーザー誘導爆弾の運用能力は持っていたかもしれませんが、近接航空支援用の軽攻撃機ゆえに空対空レーダーは持たず対艦ミサイルの運用能力もありません。
戦力としてはアルゼンチンの空母が運用していたA-4と大きな差は無く、今日の海空戦を戦うには非常に不安なレベルだったのです。
出来れば「フォッシュ」購入と同時に、同艦で運用していたシュペル・エタンダール攻撃機を一緒に買うべきでしたけれど、予算の問題からかそれは出来ず仕舞。
シュペル・エタンダールもA-4同様に亜音速の軽攻撃機ですが、こちらはエグゾセ対艦ミサイルを運用可能ですから実質的な戦力はA-4KUより上なのですが・・・。
またこの空母が搭載するイギリス製のBS5カタパルトは、前述したように就役時点で最大約23トンの航空機を射出運用する能力を持っています。
イギリス海軍では空母「イーグル」と「アーク・ロイヤル」にこのカタバルトを搭載して、高性能の艦上攻撃機バッカニア、さらに「アーク・ロイヤル」ではファントムFG.1も運用していました。
つまり「サン・パウロ」は必要な改装を実施すれば、重量級の戦闘攻撃機も運用可能な潜在性を秘めていたのです。
実際、「フォッシュ」は早期退役していなければ最大離陸重量約22トンのラファールM戦闘機を運用する計画でした。
アメリカから中古のF/A-18戦闘攻撃機か若しくはフランスからラファールMを購入し、それに合わせて近代化改装を実施すれば、空母「サン・パウロ」は世界のどこに出しても恥ずかしくない、強力なジェット母艦になれたはずなのですが、その結末は実にあっさりとした退役です。

2013年暮れにブラジル空軍が次期主力戦闘機としてスウェーデン製の「グリペンNG」戦闘機を導入すると決したニュースを聞いた時、私はてっきりブラジル海軍も空母用として所謂「シーグリペン」を採用するつもりなのではと思ったものです。
「シー・グリペン」なら最大離陸重量はおそらく18トン弱程度になるはずで、空母のカタバルト射出重量は余裕でクリア、またF/A-18やラファールMよりも小柄なのも狭い飛行甲板上での取り回しにも好都合です。
しかしそんな夢想もこれで終わり。
ブラジル海軍としては、空母の優先順位は三の次のようです。
優先順位その一はフランスの支援で建造するという噂の攻撃原潜、その二はイギリスから購入した22型フリゲイト以外は旧態化した水上戦闘艦の近代化、特にエリアディフェンス能力を備えたミサイル防空艦はぜひ欲しいところでしょう。
大きなハコモノを海に浮かべて「オレは凄いんだぞう」と威張る時代は、かの南米の地においても終焉を迎えたということですな。

2011年1月 5日 (水)

次期中期防で調達するDD2隻はあきづき型!?

昨年12月17日のエントリー「外堀が、埋まりつつある中期防」の追加補完と備忘録的に。

昨月23日付けの朝雲新聞ニュースで、次期中期防の海自護衛艦3隻調達の内容がDDH1隻、「あきづき」型DD2隻と報じられておりました。
防衛省や自衛隊と繋がりの深い朝雲新聞社の報道ゆえ、他メディアよりはその内容も裏付けがあっての事でしょうからこの”「あきづき」型2隻”はかなりの信憑性があるように思われます。
次期中期防において建造されるDD2隻が「あきづき」型そのままであるならば、護衛艦3隻のトン数は計29,500トン。
潜水艦が「そうりゅう」型5隻で計14,500トン。
ここまでで小計44,000トン。
次期中期防での建造艦艇総トン数は51,000トンなので、「その他」艦艇5隻のトン数枠は7,000トン。
「えのしま」型掃海艇4隻で2,280トンで残りは4,720トン。
トン数的に考えて残り1隻は海洋観測艦「すま」もしくは「わかさ」代艦の「しょうなん」型二番艦(2,900トン)ではなく、潜水艦救難母艦「ちよだ」(3,650トン)代艦になるのでしょうか?
2000年に就役した最新の潜水艦救難艦「ちはや」の基準排水量が5,450トンなので、随分と小ぶりになってしまいますが・・・?
また海洋観測艦も「わかさ」は1986年就役ですから、代艦を次々期中期防(2016~20年?)の初年度で建造するとして3年線表で2019年の就役になり、「わかさ」は艦齢33年で退役でなんとかなりそうですが、「すま」についてはどうするつもりなのか非常に疑問に感じるところです。
「すま」は1982年就役で本来なら代艦建造はまったなしなのですけれど。
海洋観測艦の運用実態についてはメディアで報じられる事も無く、外部の野次馬には解り難い話なので、「すま」退役純減でも差し支えないのか判断の材料が無く推測が出来ません・・・。

ともあれ次期中期防で調達されるDD2隻が「あきづき」型と見当のついたところで、護衛艦3隻の建造予算は残り1隻が24DDHとして2,700
億円前後、DDG「あたご」「あしがら」へのBMD改修予算を「こんごう」型のそれにならって2隻合計600億円としてそれを合わせると、中期防一期
当たりの護衛艦調達予算は3,300億円前後になって次々期中期防ではこの金額を上限ラインとして予算折衝が行なわれる事と思います。
次々期中期防で調達される護衛艦は「FCS-3型の性能向上の研究」を踏まえて計画されるのでしょう。ここでの焦点はDDG「はたかぜ」「しまかぜ」の代艦
を、従来通りイージス艦にするのかそれともFCS-3型の性能向上型とするのか否かでしょうね。

私見では・・・
「あきづき」型が合計6隻整備となりBMDイージス艦に1隻づつ直衛につけられる事などを考えると、近い将来海自護衛艦部隊はBMD任務群6個(各群BMDイージス艦1隻、あきづき型DD1隻、汎用DD2隻)と多用途水上戦闘群4個(各群DDH1隻、DDG1隻、汎用DD2隻)で構成し、後者のDDGは以前に書いたようにBMD能力を持たない通常経空脅威対処用とするのではないかと考える次第です。

予算面を考えると、最新型ベースラインで1,500億円以上のイージス艦、更に新しいSPY-3&VSR装備の途方も無く高額であろう新型艦をそうおいそれと調達するわけにはいきません。
かと言って安価なSPY-1Fでは能力的にエリアディフェンスには役不足です。
前述のFCS-3型能力向上研究によれば、捜索探知能力の向上と共にシステムの軽量化も図られているので、それが実を結べば「あきづき」型から排水量が大幅に増大する事無しに、それなりのエリアディフェンス能力を持つ国産DDGが1隻1,000億円程で入手可能なのではないかと考えます。
そして次々期及びその後の中期防の十年間で国産DDGを4隻と、ダウンサイジング化され個艦防御に特化したFCS-3型を搭載する小型DDを最低6隻建造して、2030年の護衛艦総数は約40隻に「軟着陸」させられれば上々でしょう。
予算的にもこれなら一期あたり3,500億円程度で済みます。
護衛艦40隻体制を確立できれば後の艦艇調達ペースはまだ緩やかにもなりますので、高額高性能BMD艦は「こんごう」型代艦までのお楽しみにしておき
ましょう。
40隻体制確立途上で「むらさめ」型と「たかなみ」型に寿命延長及び能力向上改装を実施できれば(出来れば艦の戦闘システム及びセンサーは小型DDと同じものに)、「こんごう」代艦に割ける予算枠は更に広がるでしょう。

2010年12月17日 (金)

外堀が、埋まりつつある中期防

昨日のエントリー「本気か画餅か護衛艦48隻体制」に関連して、次期中期防正面装備調達規模が明らかになりました。
→http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/guideline/2011/chuuki.html

昨日のエントリーでは、次期中期防の期間を2012~16年としておきましたが、来年度から中期防期間になりますので訂正させていただきます。

さて2011(平成23年度)~15年(平成27年度)における海上自衛隊の建艦計画は次の通り。

護衛艦 3隻
潜水艦 5隻
その他 5隻
計  13隻(約5.1万トン)

この中身を推測するに、護衛艦3隻のうち1隻は24DDH(19,500トン)でほぼ確定、潜水艦は「そうりゅう」型5隻として計1.45万トン。
その他については補助艦で退役時期を迎える潜水艦救難艦「ちよだ」代艦として「ちはや」の改良型6,000トン、海洋観測艦「すま」代艦として(「わかさ」も代替時期ですが、代替措置繰り延べ?)「しょうなん」型二番艦(2,900トン)、掃海艇「えのしま」型3隻(計0.171万トン)とすると残る護衛艦2隻の排水量枠は約0.64万トン。
この2隻が噂の3,000トン台DDとすれば計算が合います。
または「ちよだ」代艦調達を繰り延べして掃海艇は4隻(0.228万トン)で、護衛艦2隻の排水量枠は約1.2万トンとなって「あきづき」型(もしくはこの拡大改良型)2隻の調達が出来るでしょう。

護衛艦建造予算は3隻で最大2,500億円強というところで、「あたご」型DDGのBMD能力付加改修(2隻で600億円以上?)と「あさぎり」型「はつゆき」型DDの延命改修費用を加えても護衛艦関連予算は3,500億に満たない規模に縮減された事になり、次々期中期防を考えると非常に厳しい結果です。
財務省としては、次々期中期防はこの予算枠を既成事実として更なる削減を要求するのは確実ですから。
次々期中期防では金喰い虫のDDG「はたかぜ」「しまかぜ」代艦調達がまったなしで、例え次々期中期防の予算が今回規模であっても護衛艦48隻体制どころか現在の海上防衛体制は抜本的に見直し縮減しなければやっていけません。
その前兆としての、今回明記された地域配備護衛艦の機動運用化なのかもしれません。
次々期中期防策定時には防衛計画大綱が再度改訂され、正面装備の大削減は必至かと。
これは海自に限った話では無く陸自も空自もそうなるでしょう。
外堀は埋まりつつありますね。

2010年12月16日 (木)

本気か画餅か護衛艦48隻体制

政府が来週にも閣議決定する2011年度からの新たな「防衛計画の大綱」別表案が10日、判明しました。
→http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201012110092.html。

陸自部隊の南西諸島方面展開しかし定数は減とか海自潜水艦の増強など、色々と話題豊富であった防衛計画大綱改定、その主要装備整備の数的目標
値がようやく具体化したわけですが・・・。

陸自定数については財務省から、現在の実員14万8千人以下と大幅な削減を求められていましたが、現大綱定数から千人減の15万四千人に落ち着き
まずは何より。
一方戦車や重砲といった重装備はかなりの削減になっております・・・。
戦車については、これまでの調達予算規模が例え維持されても74式、90式両戦車の退役ペースにはとても追いつかないので、嫌でも今回示された数
(約400両)に収斂していくという観測もありましたから、予算の現実を追認したものと言えて止むを得ないと思います。
後は財務省が機動戦闘車を戦車枠に入れろなどと無茶を言い出さないように祈るのみです。

空自については現在の戦闘機勢力(約260機)を維持するようですが、そうなるとファントム後継のFX2個飛行隊は予定通り導入のようです。
F-35に対する米国政府への情報開示請求費用が来年度予算に計上されておりますので、FXはF-35で内定なのでしょう。
F-35は本来多国籍開発が前提の機ですから、ライセンス生産に当たっては武器輸出三原則を緩和しなければならない機体なのですが、今回それは
社民党や公明党への配慮で見送りになった為にライセンス生産は現在のところ不可。
それでは日本国内の戦闘機開発生産基盤維持に果たしてどのような対策を取るつもりなのか?
それが今後の焦点になるやに思われます。
武器輸出三原則の件をクリアしてF-15非改修機の退役を前倒しして、早期にF-35ライセンス生産体制を確立する他無いと思いますが、能力的に不足で改修も費用対効果が悪過ぎて不可、しかし飛行機としてはまだまだ使用に耐えるF-15非改修機を早期退役させる事に財務省が何と言うのか?
これもまた難問で、当事者諸氏の頭の痛いところでしょう。

海自は護衛艦を現別表から1隻増の48隻、潜水艦は18隻から4隻増の22隻。
潜水艦については以前より、諸外国の通常型潜水艦と比較してかなり短い艦齢16年で一律退役という措置(実戦配備用16隻という大綱別表による上限が理由なのですが)に疑問の声が絶えなかったところであり、今回の定数増は良い意味で実態に合ったものと言えましょう。
ただし潜水艦増に関しては、モノよりは人(高錬度の乗組員不足)がネックになるやもしれません。

さて本日の主題である護衛艦数ですが、調達予算削減の上で護衛艦数1隻増となると・・・。
次期中期防が2012~16年度と考えた場合、現在の戦力構成を維持するのであればDDH「くらま」代替の22DDH二番艦とDDG「はたかぜ」代替の
新型DDG調達は必須の調達案件になるでしょう。
問題ははたかぜ代替のDDGで、「軍事研究」今月号には一万トン型を・・・という観測記事が載っておりました。
一万トンとなればこれもイージス艦なのでしょう、その建造予算はこれまでのイージス艦「こんごう」型から「あたご」型へバージョンアップするのに25%
程度の上昇が見られた事を勘案するに、1,800億円を越える事が予想されます。
レーダーのアクティブフェーズドアレイ化、新型化を行なうのであれば更なる上昇も有得ます。
ただ、一方でMD能力を持つイージス艦を現状4隻から6隻に増勢すると謳っており、それは「あたご」型2隻にMD能力を付与する事なのでしょうから、深読みすればこれ以上の高価なイージス艦調達は止めて、「はたかぜ」「しまかぜ」代替の新型DDGはとりあえずMD能力を一切持たない、従来型経空脅威に対応するだけの比較的安価な艦、すなわちFCS-3型とACDSのアップグレード型を搭載した艦にするとも受け取れそうなのですが・・・。
これなら「あきづき」型の発達型ですのでその建造予算も1,000億円程度に収まるのではないか?と考えている次第ですが果たして?

DDH1隻1,100億円、DDG1隻1,000~1,800億円となると、中期防五年間の護衛艦建造予算4,000億円弱として残りは1,000~1,800億円程度になりましょう。
この枠内で新型DDを調達しなければなりませんが、聞くところによると次期DDはこれまでの艦型拡大路線から一転して3,000トン台へ小型化するとの事。
新型DDはMD任務群に配備して、長期の作戦航海を常態しては考慮しない割切り方をすれば、必要な能力を維持しつつ小型化するのも可能かもしれません
基準排水量を「あさぎり」型水準に下げてなんとか500億円程に収める事が出来れば、2~3隻は調達出来そうです。
護衛艦48隻体制では所要のDD/DEは36隻。
「あさぎり」型に艦齢40年、後期「はつゆき」型に艦齢35年改修を実施するとして、次期中期防完成の2021年時のそれは、これまでの私の推測を当てはめるに以下の通り。

DDx28~29隻(新型DDx2~3隻、「あきづき」型x4隻、「たかなみ」型x5隻、「むらさめ」型x9隻、「あさぎり」型x6隻、「はつゆき」型x2隻)、
DEx6隻(あぶくま型x6隻)。
合計34ないし35隻で、1~2隻はどうしても不足する計算になります。
護衛艦の定数を「約47隻」とでもしておけば、これでも誤差の範囲で済む話なのですが、わざわざ「1隻増」を謳うのは海上防衛重視を内外に示す為の単なるパフォーマンスなのか、はたまた本気できっちりとその数字を考えているのでしょうか?
次々期中期防(2017~21年を想定)ではDDG「しまかぜ」と「はつゆき」型DDx2隻(更に練習艦「しまゆき」も)、DE「あぶくま」型6隻が待ったなしの退役時期を迎えるので、「むらさめ」型のいずれかの艦を「しまゆき」代艦として練習艦に転籍させる事を考えまた次期中期防完成時の不足解消を図るとなると、DDGx1隻、DD/DEx9~11隻の調達が必要になります。
旧地方隊所属護衛隊の不足分は安価なDE(1隻250億円程度)で埋めるとしても、調達予算の大幅増は不可欠で、これから深刻化する一方の財政状況を考えればそのような要求が通るわけがありません。
従って「護衛艦48隻体制」などとぶち上げてみても、それは所詮画餅に過ぎないのです・・・。
予算の裏付けも無く虚勢を張るよりは、今後予測される予算規模の実態に合った、従来の枠組みや慣習を白紙にしての新たな海上防衛のあり方を
早急に打ち出す方が賢明では?と外野のシロウトとしては愚考する次第です。
無い袖はどうやっても振れないのですから。

2009年12月30日 (水)

F-35計画に日本も参加か!?

備忘録的に・・・

日米両政府が、米英を中心とする次世代戦闘機F-35の国際共同開発への日本の参加を検討していることが29日、分かった。航空自衛隊向けの製品に関与を限定し、武器輸出三原則に抵触するのを回避する方針。空自の次期主力戦闘機(FX)早期導入に道を開くのが狙いだ。→http://www.47news.jp/CN/200912/CN2009122901000411.html

F-35は計画コストが膨れ上がって関係各国皆いっぱいいっぱいの様子。
主催の米国としては日本を計画に引き込む事に躊躇は無いでしょう。
日本を引き込めれば計画資金も潤沢になるというもの。
問題はソース元でも触れられているように「武器輸出三原則」との絡みをどうするのかという点。
私はこれまでこの問題を克服するには
「F-35ベースの空自仕様型を日米共同開発、別ナンバーを付ける事でコレはF-35ではないので共同開発体制に抵触しないと国内世論も計画参加国も言いくるめる」
以前より小声ながら主張しておった次第ですが、どうやらそんなセコい手は使わずに正面突破を図りそうな気配です。
天下の大幹事長オザー先生の鶴の一声、

「武器の共同開発に参加しちゃいけないって憲法のどこに書いてあんのかっちゅーの!」
「原則なんてモンは絶対のモンじゃなくて、情勢の変化でもいくらでも変わるもんだっちゅーの!」

米国も日本のネトウヨ諸氏もこれに期待ですかね。
ボーイング社のお歴々が「お土産」を携えて、年明け早々にも大幹事長先生の謁見を賜るべく来日というつうかいなニュースが見られるやもしれませぬ。

まぁしかし・・・、
社民党が政権に加わっている間はこの件の議論すら無理なのではないでしょうか。
何しろあの党の金科玉条の一つに関わる大問題なのですから。
党首女史同志が「わたしたち社民党はぁ~」と、例の妙な抑揚の付いた発音と底の割れたビー玉のような目から鈍い光を放ちながら、
「連立解消の決意」
をおっしゃる画づらが目に浮かびます。
そして現在のところ、大幹事長先生は普天間の問題に象徴されるように、社民党の意向を最大限尊重する姿勢に揺るぎを見せておりませんからね。
武器輸出三原則見直しの話は、来夏の参院選で民主党が単独過半数を確保してのちの事となるでしょう。
ただ民主党が衆参で単独過半数を取ったところで、この問題・・・というかファントム後継機導入事案がそのまますんなり通るとはとても思えませんし。
全ては来年度に見直される防衛政策と新たな防衛大綱別表次第ですな。

蛇足ながら・・・
大幹事長オザー先生は参院選に勝利しても、社民党を連立に留めておくんじゃないかなぁ・・・。
あの党を引き込んでおいた方が、中国様の意向に背く問題を米国から突きつけられた場合、「国内事情」の一言で押し切れるもんね。
外交にしても安保にしても。
反米媚中愛朝路線を突き進むに当たって、あんな利用しがいのある美味しい政党は無いですよ(笑)。 

2009年11月27日 (金)

鳩山政権、防衛予算削減ス

備忘録的に本日も一言・・・。

鳩山内閣が検討している来年度の防衛力整備方針案が25日、分かった。基本原則として「マニフェスト財源捻出(ねんしゅつ)の必要性や中期防衛力整備計画策定による経費総額の見積もりがなされていないことなどを踏まえ、新規後年度負担額を厳しく抑制する」と明記。09年度まで7年連続で減少を続けている防衛予算の、
更なる削減を目指す。 →http://www.asahi.com/politics/update/1125/TKY200911250238.html

これまで防衛政策については不気味な程沈黙を守ってきた鳩山政権ですが、とうとう本性を現し始めましたね。
所得制限無しでバラまく子供手当などの財源に、防衛力を更に切り崩すようです。
防衛力は外交と並んで国際社会で国家が相応の地位で立ち居振舞う上で、必要不可欠なものです。
左向きの方はこう言うとすぐ軍国主義とか大砲かバターかの話をしますけれど、国際社会の現実は、重力定数が不変なように昔も今もこれからもそうなのです。
確かに無駄を無くしていく事は必要な事ですが、明らかにそれ以上の領域に手を突っ込もうとしているこの政府この政党、・・・これまでの言動行動から予想はついておりましたけれど、実際の問題として浮かび上がってくると、慄然とした思いを禁じ得ません。
再来年度からは新しい防衛計画に従って実行に移されるであろう防衛力の大削減、リアリストである外国人投資家はドン引きになるでしょうね、現状でも危険領域に入りつつあるというのに。
自分の国を自分で守ろうという気概を持たない国など危なくて投資できませんよ。

周辺各国が軍拡中にもかかわらず(しかも膨張主義や反日を隠そうともしない)、標的になっている当事国は子供手当(親が使い込んだらハイそれまでよ)やバラマキその他の麻薬みたいな政策遂行の為に防衛力を率先大削減。
更に永住外国人への地方参政権付与(これまでうまく行った国は無し、韓国とは相互主義というけれど、向こうは在韓永住日本人への参政権付与は高いハードル付き、中国人に対しては相互主義を取らないそうです・・・)や、「外国人住民基本法」(不法滞在でも日本に三年以上居住していれば永住資格
を、五年以上なら日本国籍を付与)などという、日本国憲法の大原則「国民主権」を完全に無視し踏みにじる事を(天皇制廃止や三権分立が無くなり特定の個人政党の恣意的判断で立法司法可能になるのと同様の深刻な問題と言えば皆様わかられるでしょうか?)、更には日本人の雇用促進を放り投げて移民による労働力確保(これは民主党に限った話ではなく、自民党も同じ)などと、狂っているとしか思えない政策の積極推進。
国際経済のメジャープレイヤーの地位を下ろされ(自主的積極的に降りたがっているとしか思えない)、米国との関係悪化で輸出産業は大打撃を受け、防衛
力大削減で外国人投資家の足はますます遠のき、技術立国の看板も技術関係予算の大削減で机上の空論化、内需誘導に無為無策、加えて政治は特定外国人とその背後にいる国家の強い干渉を受ける。日本は無くなりますよこのままでは。

自衛隊の人員に関しては現状維持するそうですが、そうなると人件費には手を突っ込めません。
となると、矛先は正面装備費と訓練修理運用費に行きます。
この両者を併せても、防衛関係費の40%弱にしかならず、仮に全部削ったとしても大した額にはなりませんが、特に正面装備費に手を突っ込んで大砲かバターかの論議を仕掛ければ、マスコミは大いに取り上げ(当然バター最優先で)、子供手当!高速無料化!な有権者は飛びつくでしょう。
正面装備費については政治マターとして今回の「仕分け」では扱わないとの事です
けれど、防衛予算削減と正面装備費削減がイコールである限り、来年以降は調達案件個々についてレンホー先生から魔女裁判の如き理不尽な追及がなされるやもしれませんね。

また正面装備費を削る事は、部隊数削減に繋がり当然人員も減員になります。自衛隊の場合、正面装備購入は軍拡ではなく既存装備の更新なのですから。
報道では「現有装備の改修による有効利用」を実施するそうです。
しかしこれとて限度があります。
例えば空自ではF-4戦闘機は物理的限界に近づいていて、延命は不可能に近いのです。
先日書いたF-35導入の件はこの更新目的ですけれど、この導入が無くなれば、F-4の退役=代替機無しに付き要撃飛行隊2個純減になるのです。
陸自、海自についても同じく。
それなのに人員は維持・・・、余剰人員は「友愛ボート」にでも乗せて、
「ぼくたちこんなにこくさいこーけんしてるょ!」なマスターベーションの道具として丸腰でアフガンやらどこへやらと送り込む算段なのでは?と誇大妄想気味なのは重々わかっているつもりでなお勘ぐってしまいます。

最後に・・・
私の専門?分野の海自で、仮に来年度及びそれ以降五年間の新たな防衛計画(2011~15年度)下で護衛艦と潜水艦の新規調達がゼロだった場合、2020年の護衛艦と潜水艦数はかくの如し。

護衛艦34隻:内訳:DDHx2隻(ひゅうが型2隻)、DDGx6隻(あたご型2隻、こんごう型4隻)、DDx22隻(5000トン型x4隻、たかなみ型x5隻、
むらさめ型x8隻、あさぎり型x5隻)、DEx4隻(あぶくま型4隻)。
他にTVとしてむらさめ型1隻、あさぎり型2隻。
潜水艦12隻:内訳:そうりゅう型x5隻、おやしお型x7隻)。
他にTSSとしておやしお型2隻。

護衛艦は現大綱別表の定める47隻に比べ13隻、約28%減、潜水艦は同じく16隻に比べ4隻、25%減になります。

いくらなんでもここまで極端な事はすまいと思いたいところですが、もしこうなった場合、日本は潜水艦建造能力を失うかもしれません。
護衛艦建造能力に関してもかなり深刻な事態になるでしょう。
一度失った能力や技術はもう戻らないと考えた方がいいでしよう。
陸自、空自についても同様です。

2009年11月26日 (木)

踊り子さんにはお触り禁止だそうです

これもまた備忘録的に一昨日の追加。

米国防総省が、開発中の次世代戦闘機F-35に搭載されるソフトウェアについて、同機を共同開発する英国などにプログラムを公開しない方針であることが分かった。
→http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-12621820091125

F-22ラプターはもしFMSで導入できても、ソフトウェアはお触り厳禁で国産航空兵器の運用をしたかったら先方にインテグレーション丸投げ確実でしたけれど、ラプターのレーダーFCSの空対空能力縮小対地攻撃追加版であるF-35についても、お触り厳禁という事ですね・・・。
日本製の空対空ミサイル、AAM-4シリーズもAAM-5も対艦ミサイルも、米国にインテグレーション丸投げ決定ですな。
ソースコードは全部向こうに知られます。
また国産航空兵器を搭載出来ない(ソースコード開示をしたくない)という事であれば、米国製のAAMやASMをF-35用に併せて導入しなければならなくなります。
それじゃ搭載兵器も自国製を強要するフランスのラファールを笑えません。
もし航空兵器もライセンス生産不可FMSのみとなったら継戦能力の悪化は避けられず、なんだか日本詰んじゃったと閉塞感で嫌な話・・・。
これでF-15プレMSIP型の後継も同様の事態に見舞われたら、国産戦闘機開発の目処が立たない現状で搭載可能機(F-15近代化型とF-2)が先細りでは、スケールメリットが生かせずに費用対効果がすこぶる悪くなる国産航空兵器開発から撤退という事になるでしょう。
そうなれば何から何まで米国頼りですよ。
これでも防衛省はF-35が良いのでしょうか、疑問です・・・。
民主党的にはF-35FMS導入でとりあえず米国のご機嫌をとりつつ、将来中国サマや朝鮮サマの障害になりそうな日本の戦闘機や国産航空兵器開発能力を撲滅出来るので美味しい話なのかもしれませんけどね。

2009年11月24日 (火)

空自FXはF-35で決定か!?

備忘録的に気になる事に一言・・・。

防衛省は航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)に次世代戦闘機F-35採用をする方向で調整に入った。
→http://news.nifty.com/cs/headline/detail/kyodo-2009112201000381/1.htm>

あれほど恋焦がれていたF-22ラプターは輸出不可と米国に事実上の引導を渡され、結局選定作業を一年先延ばししたF-4の後継機問題ですが、防衛省はこれで一応の方向性を決定した事になります。
しかしうーむ・・・F-35ですか、しかも当面の導入はたったの40機。
F-35プロジェクトが多国間開発である事から、我が国は武器輸出三原則の見直し無しにこれに参加する事は困難で、それはすなわち導入手段がFMS
のみになります。
またF-35購入に当たっては、「お布施」のレベルの高さによって優先順位が決められておりますので、それを額面通りに受け取るとかなりの「お布施」を
しない限り、後発の日本の購入の順番は後回しにされて差し迫ったF-4の退役にはとても間に合わないのです。
ただ・・・、聞くところによると「お布施」支払済みの国々からも計画撤退や導入機数の大幅削減の動きがあるとやらで(リーマンショック以来の財政危機に
加えて、開発計画の遅れや性能に比して安価と言われたコストの増大などで)、購入の順番自体は速まりそうです。
米国としてもこういった不穏な動きがある中、日本が手を挙げて穴埋めしてくれるのは願ったり叶ったりでしょう。

このように導入手段がFMSだけという事は、当然これまでの空自主力戦闘機装備の大前提だったライセンス生産が出来ず、現在生産中のF-2支援戦闘機のラインが閉じる2011年度以降は日本国内での戦闘機生産基盤が失われるという防衛政策上、実に由々しい事態に繋がります。
勿論F-4後継機を純外国機にした場合、ライセンス生産可能となっても2012年度から即生産という訳にはいきません。
ラインが動き出すのはその数年後でしょう。
しかしこれから先生産の目処が全く立たないのと、数年先には確実に再開できるのとでは、同じ生産空白期間でも意味合いは全く異なります。
前者の場合、業界は戦闘機生産事業から完全撤退という事になるでしょう。
一度完全撤退した場合、再建には相当の期間と費用が必要と思われ、国産戦闘機F-3の夢も事実上潰えることになります・・・。

米軍向け価格よりかなり高いFMS価格、それより更に高額を要するライセンス生産を巡っては、各方面から色々な意見が出ていたところです。
確かに高額です、F-15のライセンス生産末期の価格は一機120億円もしたのですから。FMS導入なら100億程度で買えたでしょう。
しかしライセンス生産は高い稼働率を維持する為には必要不可欠です。
ブラックボックス以外の部品は国内で容易に入手出来るのですから。FMSでは部品も米国の都合待ち。
米軍優先で、悪く言えば海外ユーザー向けは「余裕があったら送るからね~♪」ですよw
家電製品のアフターサービスとは訳が違うのです。
戦闘飛行隊が現在の2倍あるなら話は別ですが、防衛計画大綱別表で戦闘飛行隊の数も戦闘機保有数もがっちり枠をはめられている空自は、必然的に
少数精鋭です。
それを支えるのがライセンス生産に裏打ちされた機体の高稼働率であり、パイロットの高錬度なのです。
その前提を自ら崩そうとしている日本の空の守りはどうなるのか、周辺諸国が軍拡に走る中で・・・。

それにそもそもF-35の性能自体が日本の戦略環境には合致しているとは言い難いと思うのです。
有り体に申せば、F-35の位置付けは「自衛能力の高い中レベルのステルス攻撃機」。
防衛政策を抜本的に変更し、要撃戦闘機を削減してその代わりに新たに敵地侵攻能力を備えた戦闘攻撃機を導入するというのなら相応しい存在でしょう。
空中給油機の増勢とセットで北朝鮮のミサイル基地を爆撃するというのであればです。
そうでは無く純粋にあの機を迎撃戦闘機に、しかも戦闘機生産基盤喪失と引き換えに導入する価値は果たしてあるのだろうかと甚だ疑問に感じるところです・・・。

F-2支援戦闘機の生産縮小は自公政権下で決定した事で、現政権にはそれを反故にする上で何のしがらみも無いでしょう。
であるならば、焦ってF-35に手を出してドツボに嵌るよりは、F-2の改良型(現在アップデートが進みつつある既存生産機の仕様ベースで)を生産したほうが良いのではと考える次第です。
(私は以前はタイフーン導入派タイフーン万歳!でしたけれど、現在は違いますので裏切ってごめんなさい)
F-2は米国との共同生産なので、生産縮小によりラインを閉じる先方のメーカー担当分を日本で行う事になり、契約上色々と解決しなければならない問題も発生するでしょう。
しかしそれを踏まえてもなお、F-2改良型生産の方が日本にとっては旨みが多いと思うのです。
そしてF-35については、すぐにでも米国との協議の場を設けて日本仕様の要撃型共同開発と出来うればライセンス生産(F-2同様の共同生産も止む無し)について話し合うべきです。
F-22導入が不可能である以上、ステルス性と先進アビオニクスを持つ新世代機の叩き台はF-35以外に無いのですから選択の余地は無い筈です。
共同開発機を新型機扱いにして別のナンバーを振ってしまえば、武器輸出三原則のしがらみからも、F-35計画参加国のブーイングからも逃れる事も出来ます。(多分・・・)
そして開発されたF-35ベースの新型機をF-15非近代化型の後継として導入するのが、無い知恵を絞りきった末の私の出した最善の結論なのですが、如何に!?

・・・でもまぁ、身も蓋も無い話をしてしまえば「純減」でしょうけどね。
防衛計画見直しは来年度実施されますけど、そこで戦闘飛行隊2個以上の純減が決まってしまえば、F-35もF-2改良型もハイサヨウナラ。
または来年の今頃、例の「仕分け作業」でF-X計画が槍玉に挙げられ、必死に計画の妥当性、必要性を説く防衛官僚や空自制服組に対して豪腕・レンホー先生が決して目が笑っていない笑顔で一言、

「諦めてください♪ 以上です」

2009年8月 2日 (日)

地味なFJフューリーは我が新潟の空の守護神だった!

先月30日に発売された「世界の傑作機」最新刊は「ノースアメリカンFJフューリー」。

米海軍ジェット戦闘機の実戦部隊配備第2号(ただし空母運用資格不合格に付きCVクルーズ参加せず)「FJ」と、朝鮮戦争で遭遇した共産軍最新鋭戦闘機MiG-15に対抗できる戦闘機を持たず焦燥感にかられた米海軍が、恥も外聞もプライドも捨てて、当時唯一MiGに対抗出来た米空軍主力戦闘機「F-86セイバー」を艦載戦闘機として仕立て直させた「FJ-2」、そこから海軍独自の発達を遂げた「FJ-3」「FJ-4」シリーズの二種類に大別される「フューリー」シリーズ。
それを一冊に纏めて紹介したのがこの本であります。

前々号が、その特異なスタイルからマニア受けする(フジミから1/72でプラモデルが発売されているのが愛好者の多い証)「ヴォートF7Uカットラス」などという機体を扱っておりますので、この「フューリー」もいずれは・・・とは思っておりましたが、まさかこんなに早く出るとはねぇ~・・・。
まぁ、戦闘機が配備されては数年で退役してしまう(前述のカットラスはその典型)新陳代謝の極めて激しい時代において、実に千機を越す生産数と、54年~62年と実に9年に及ぶ実戦配備の期間(セイバーを単に空母運用可にしただけのFJ-2と、当時の新鋭攻撃機A4Dをも一部の性能で凌ぎ戦術核爆弾運用能力まで持つ最終生産型FJ-4Bとではほとんど別機に近いのですが)。
地味ながら50年代後半の米海軍空母航空団の屋台骨の一端を担った機には違い無く、艦載機としてはダメ出しギリギリで無理矢理運用していた前述のカットラスと比較すれば扱われるのに相応しいとは思います。
しかしねぇ、「フューリー」を扱う前に、いくらでも扱われるべき機は残っているでしょうにとね、ちょっとばかし苦言も呈したくなるのであります。

戦後機に限定してみても、

ボーイングB-47ストラトジェット
(米空軍の世界初ジェット戦略爆撃機)
ノースロップF-89スコーピオン
(米空軍の世界初本格的ジェット全天候迎撃戦闘機)
ミコヤンMiG-19ファーマー
(ソ連初の超音速戦闘機)
グロスター・ミーティア
(世界で二番目、連合軍初の英国実用ジェット戦闘機)
デ・ハビランド・バンパイア/ヴェノム
(英国二番目のジェット戦闘機で、ミーティアと共に冷戦
最初期の西欧諸国空軍を支えた)
E.E・キャンベラ
(英空軍のジェット軽爆撃機。米空軍もB-57として採用)
グロスター・ジャベリン
(英空軍初の本格的全天候迎撃戦闘機)
スーパーマリン・アタッカー
(英海軍初のジェット戦闘機)
ホーカー・シーホーク
(英海軍初の完全なるジェット戦闘機)
ホーカー・シーヴィクセン
(英海軍初の本格的全天候戦闘機)
スーパーマリン・シミター
(英海軍初の戦術核攻撃機にして遷音速戦闘機)

・・・とまぁ、これらはサイダー飲んだらゲップが出るぐらい当然の事として扱われるべき機でありますし、これらには及ばずとも、「フューリー」以上の価値がありそうなものに、

ダッソー・ミラージュⅣ
(冷戦期にフランスの核抑止力の一翼を担った高速爆撃機)
セスナT-37/A-37ドラゴンフライ
(米空軍の初等ジェット練習機で、不正規戦用の軽攻撃機ドラゴンフライに発達)
グラマンS2Fトラッカー/E1Fトレーサー
(艦載対潜哨戒機。海上自衛隊にも配備。早期警戒機トレーサーに発達)
ダッソー・エタンダールⅣ/シュペルエタンダール
(フランス海軍初の国産ジェット戦闘攻撃機とその発達型。フォークランドとペルシャ
湾の雄)

・・・とまぁこんな面々が控えておるわけです。
「世界の傑作機」の中の人たちが米海軍機が好きで好きでもう辛抱堪らんさ加減はこれまでのシリーズ実績からも痛い程伝わってまいりますが(若い頃、ベトナム戦争時に厚木周辺でガルグレイに派手なマーキングのファントムやクルセイダーの撮影追っかけをやっていらした方もいるでしょう)、仮にも「傑作機」と銘打っている以上、もうちょっとバランス感覚を働かせては如何と思う次第なのであります。

さて「フューリー」の本文ですが、実戦経験が無いので生産機数の多さに比べてエピソードの方は矢張りイマイチ、地味です・・・。
しかしそんな中で目が釘付けになったのが、

新潟に一時期フューリーが配備されていた!

という記述。
FJ-2装備の米海兵隊戦闘飛行隊VMF-235が、1956年8月に厚木基地から新潟基地に移動し、日本海側の防空任務についたとの事です。
当時はまだ航空自衛隊は揺籃期、F-86Fセイバー装備の戦闘機部隊建設が始まったばかりで、防空アラート任務に就くのは一年半ほど先。
日本本土の防空は米軍が全面的に担っていた頃の話です。
VMF-235はその秋、新潟でFJ-4に機種改編し、翌年1月まで任務に就いていたとの事。
こういう話を知ると、にわかにFJに親近感が湧きいとおしさに心揺さぶられるのは人情というもの(笑)。

さらにFJといえば、もう十年以上前にエマー社(英国)の1/72「FJ-4B」を作った事がありますなぁ~。
同じくエマー社の1/72「F3Hデモン」と一緒に買って。
FJ-4Bは非常にチープな出来で、インテイクは開口していないしコクピット周りは貧弱そのものだし、主翼が折りたたみ式になっていて隙間ガタガタだったり、ノーズに錘を入れないと尻餅付いちゃうけど、付かないように錘を入れると前脚が貧弱で折れそうとか、もうなんだかなぁ~な内容だったのであります。今なら徹底的な改修に乗り出すところですが、当時はまだ造型に手を染める前で資料も皆無な事もあり、そのまま素組して修正もロクにせず筆塗りでデカールを適当に張って棚の一番上(ロクに掃除もしない)にポイっと(笑)。
そのお陰で、もっと出来のいい作品が棚から落としたのパーツが取れ消し飛んで修復不能となり、次々と廃棄の憂き目にあったのを尻目に今日までこうして生き延びているわけです。
実機同様、地味こそ長寿の秘訣なりってね!

エマーの1/72「FJ-4B」と「F3H」
デモンと並ぶFJ-4B。
ピトー管は折れ埃で薄汚くデカールコートもしていないのはご愛嬌。

2008年12月27日 (土)

空自FXは高価な旧式機F-15の再導入か純減か

政府は27日、次期主力戦闘機(FX)選定で米国製最新鋭ステルス戦闘機「F22ラプター」を最有力機とする対応を見直し、再検討する方針を固めた
そうです
→http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20081227-OYT1T00380.htm

空自はおそらく今でも

「らぷたーがほしいっていったらほしいほしいんだよぉぅ・・・!」

なのでしょうけれど、政府の方はラプターを諦めるように引導を渡すつもりのようです。
ラプターに関しては、よしんば米国が対日輸出を認めたとしてもライセンス生産はNG、向こうの言い値、恐らくは1機200億円をくだらない価格でのFMS購入になったでしょう。
そうなれば空自の他の事業は大きな圧迫を受け、特にF-15の近代化改修計画はラプター導入の引き換えに中止という事になりかねず、高性能だが少数でFMS導入ゆえに稼働率の低下も懸念されるラプターと旧式化が急速に進む多数のF-15という、結果として非常に由々しい事態を招きかねませんでした。

従って、最強戦闘機日の丸ラプターは見果てぬ夢として潔く諦めるとして、問題はその代わりにどの機種を選ぶのか?
前述の報道では、その候補として絞られたのは次の三機種。

ボーイングF-15FXイーグル
ロッキードF-35ライトニングⅡ
ユーロファイター・タイフーン

これまで候補の一角を占めていたボーイングF/A-18E/Fスーパーホーネット採用の目は、これで消滅したという事でしょうか・・・。
ボーイング社は既に生産終了目前で出がらしのイーグルよりも、新鋭機で先の長いスーパーホーネットを優先して販売したい意向と聞き及んでおりましたけれど。

私はこのブログで三年近く前から次期F-X問題については記事を書いておりまして、

参照
タイフーンJはいかが?

FXはやっぱりF-15ですかねぇ

改めてくどくどと書く事もないのですが、かいつまんで私の推察を述べさせていただくと・・・、

F-35は多国間開発が建前で、比較的早期に導入を開始しようとするのなら、現在導入の順番待ちをしている諸国同様「お布施」が必要になります。
また現在日本は米国以外の国との兵器共同開発はNGです。従ってF-35計画参入には単に予算上の問題ではなく、FMS導入にしろライセンス生産にしろ、「高度な政治判断」が求められる事になるでしょう。
昨今の国会事情で果たしてそんな事が出来るのか? 民主党が政争の具にし、提灯マスコミも一騒ぎしかねません。
・・・もっとも、F-X機種決定時には間違いなく衆院選が実施され、自民党が一旦下野するのはまず確実な情勢ですので余計な心配かもしれませんね(苦笑)。

そういう生臭い話を置いておいて純粋に機体の能力として考えても、なるほどステルス性は優れていても、空自の求める要撃戦闘機としての飛行性能にF-35が合致するかと言われれば、識者の方々が色々言われているように少々疑問を差し挟みたくなるのも確か。
国産の空対空、空対艦ミサイルとのマッチングを行うにしても、その作業は全て米国で行う事を強要され、虎の子のそれらミサイルの技術開示を泣く泣く・・・という事もありえます。

タイフーンはかつて私が一押しの機体で、ありがたい事に先方もかなり自由に(ブラックボックスも無しとか!?)弄らせてくれるとかなんとか。
日本が特に欲しいエンジンの技術移転もかなりの範囲で認めるようです。
また肝心の要撃戦闘機としての飛行性能も、F-35に比べればステルス性以外は勝っており、価格もこの際F-15pre-MSIP型の一部をも代替する事で採用機数を百機にまで増やせれば、日本独自の改修を加えてのライセンス生産もスケールメリットが働いて相応の低下を見込めます。
建前として「共同開発」の形を取らない玉虫色で押し通せば、(F-35にその手は無理そうかなぁ)、政治絡みの生臭い話に足を引っ張られずにすみます。
・・・問題は米国の意向。

つい先日も、タイフーンのサウジアラビアへの輸出に対して、
「米国製の部品が使われているからナントカ」
と大人気ない難癖を付けておりました。
米国としては、将来F-15の後継として日本が国産主力戦闘機を開発するに際して一番のネックである高性能エンジンのノウハウをタイフーン導入による技術移転でモノにするのは、政治上も商売上も甚だ面白くないでしょうから、色々言ってくるでしょうね。
最強の殺し文句は

「タイフーン採用により、その互換性の問題から日米両軍の共同作戦に支障が生じる恐れがあり、それはひいては日米同盟の将来にも悪影響を及ぼす」・・・。

こう言われれば自民政権はシッポを巻くより他になし、民主政権にしても現実問題として日米安保をただちに解消して中国に全てを委ねるなんてバカな事は出来ませんから、米国の意向に当面は従っておく必要があります。
ゆえに残念ながらタイフーン導入の目は・・・。
米国がそれを認めるとすれば、日本がF-15後継機に国産機を充てる目論見を完全放棄して、F-35発達型をそれに充て、日米共同開発として(建前上は新型機開発として武器輸出三原則に抵触しないようにして)、多額の資金と技術を日本が拠出するという条件の元だろうと私は推察しますが果たして?

三候補のうち二つまでが難しい条件付きとなれば、選択肢は二つ。

一つはいくら改良型とはいえ、基本設計が1960年代後半のF-15FXの導入。
まだ試作さえされていない架空の機を(原型のF-15KやSGがあるとはいえ)、たかだか数十機これから開発して採用しようというのですから、開発費用はその少ない機数に上乗せされ、結果性能の割にとてつもなく高い買い物になりかねません。
導入後、早期の陳腐化は確実ですが、耐用寿命が従来のイーグルよりも格段に長いFX(機体強度の高い戦闘爆撃機型のE型をベースにしている為)は、空自に類例のない長期に渡る運用を強いられる(途中で捨てるなんて言ったらあの財務省が何と言うか・・・)ので、その辺の問題をどうクリアしていくのかが課題です。

二つ目の選択肢は言わずとしれた「純減」。
民主党政権になれば、この選択が最も可能性大でしょうね。
F-35は武器輸出三原則がクリア出来ないので駄目、タイフーンは対米関係に悪影響を及ぼす可能性があるので駄目、F-15のような高価な旧式機に国民の税金は使えないので駄目。
ファントム後継は、周辺各国との友好と融和の促進で補います!
従って純減でいいのです純減純減!
軍備増強よりも経済対策! 安心安全な社会保障! 定住外国人の皆様への充実した生活保障!

結論
ファントム後継は無し、周辺各国が軍拡を続けようが日本は率先して一方的に防衛力削減!
残念ながらこのように立ち至るでしよう・・・。

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