最近のトラックバック

無料ブログはココログ

« 2020年12月 | トップページ | 2021年2月 »

2021年1月の記事

2021年1月24日 (日)

2010年代のイギリス空軍(RAF)とイギリス海軍航空隊(FAA)

今回は前回「2000年代後半のイギリス空軍(RAF)とイギリス海軍航空隊(FAA)」に引き続いて、2010年代のイギリス空軍(RAF)とイギリス海軍航空隊(FAA)についてです。
この連載は今回が一応の最終回になります。
これまで同様に、英語版ウィキペディアや英語のサイト「ウイングアビエーション」、雑誌「世界の傑作機」などを参考に纏めてみました。

第二次大戦後のイギリス空軍(RAF)及びイギリス海軍航空隊(FAA)の連載記事の一覧表はこちらへ

ではまず、2011年末時点におけるRAFの戦力概要について。

戦闘機飛行隊:推定3個:
ユーロファイター・タイフーン飛行隊 x 3個(No3. 6. 11.の各飛行隊)

RAF待望の新戦闘機タイフーンは実戦飛行隊三個と作戦転換兼予備のNo29飛行隊、運用評価兼予備のNo17飛行隊、フォークランド防衛用のNo1435小隊に配備されています。
この時点でマルチロールタイプのFGA.4が大半を占めていると思われますが、空対空戦闘能力のみのF.2がどの程度残存していたのかどうか。
この後、タイフーン飛行隊は2012年9月にNo1飛行隊、2015年2月にNo2飛行隊、2018年7月にNo12飛行隊、2019年2月にNo9飛行隊がそれぞれ再編されていて、2020年初頭におけるタイフーン実戦飛行隊は計7個になっています。
なおトーネードADVは2011年3月に最後の飛行隊No111が解散したことで運用を終了しています。

攻撃機飛行隊:推定5個:
パナピア・トーネードIDS(GR.4)飛行隊 x 5個(No2. 9. 12. 31. 617.の各飛行隊)

1982年から実戦配備され、永きに渡ってRAFストライクコマンドの航空打撃力の主柱にあった可変翼攻撃機のトーネードIDSも、後輩のトーネードADVの後を追っていよいよ減勢フェーズに入いっていきます。
2014年3月にはNo617飛行隊、2015年1月にNo2飛行隊、2017年3月に作戦転換兼予備のNo15飛行隊、2018年2月にNo12飛行隊が次々と解散。
最後のトーネードIDS実戦飛行隊No9とNo31も2019年3月に解散して、RAFにおけるトーネードIDS部隊運用の37年の歴史もついに終わりを迎えたのでした。

2011年初頭をもってリタイアしたハリアー攻撃機の後継としては、遅まきながらアメリカと共同開発の形をとったロッキードF-35BがいよいよRAFの戦列に加わります。
2013年4月にRAFとFAA合同のF-35B合同評価兼予備部隊のNo17飛行隊が再編されて、2018年には予備指定を解除されて純粋な試験評価飛行隊になります。
RAF最初のF-35B実戦飛行隊は2017年に再編されたNo617飛行隊で、この部隊は当分の間FAAのNo809飛行隊と共同運用の形を取ります。
No617飛行隊は2019年初頭に作戦能力獲得を宣言して実働体制に入り、イギリス海軍の空母「クイーン・エリザベス」に展開しています。
F-35Bの作戦転換部隊としては2019年8月にNo207飛行隊が再編されて、これでRAFとFAAのF-35Bの戦力化もスムーズに運ぶことが期待されます。

早期警戒管制飛行隊:推定1個:
ボーイング・セントリーAEW.1飛行隊 x 1個(No8飛行隊)

戦術輸送飛行隊: 推定4個:
C-17A グローブマスターIII飛行隊 x 1個(No99飛行隊)
ロッキード・ハーキュリーズ飛行隊 x 3個(No24. 30. 47. の各飛行隊)

ハーキュリーズ装備のNo24飛行隊は2013年に輸送機の作戦転換部隊に変更されて、実戦任務から外れています。
また同機装備のNo30飛行隊は2016年末に解散していて、これでRAFの戦術輸送機フリートはグローブマスター、ハーキュリーズ、A400Mが各一個飛行隊という体制になっています。
そのA400Mを装備するNo70飛行隊は2014年10月に再編されていますけれど、欧州共同開発のこのA400Mは肝心の輸送能力が不足しているとかエンジンの信頼性とか色々な問題が生じているようで、それでもRAFがキャンセルせずに装備したのはイギリス航空産業に対する配慮があったのではと邪推したくなるところです。

戦術輸送ヘリコプター飛行隊:3個:
ボーイング・チヌークHC.2飛行隊 x 3個(No7. 18. 27.の各飛行隊)
チヌーク部隊については従来通りです。
戦術輸送任務を帯びるヘリコプター部隊としてはマーリンHC.3装備のNo78飛行隊No28飛行隊が存在しましたが、両飛行隊共に機材をFAAに譲ってNo78飛行隊は2015年から各種ヘリコプターの作戦転換飛行隊に改編、No28飛行隊は2014年9月に解散しています。

海上哨戒飛行隊:推定0個:
BAE・ニムロッド海上哨戒機はMR.2からMRA.4への大規模アップグレード計画が2010年10月にキャンセルされた結果、実戦飛行隊二個と作戦転換飛行隊1個が2011年5月に解散して、RAFは海上哨戒戦力を喪失してしまいました。
いくら周辺海域に重大な脅威が存在しないとはいえ、島国のイギリスに長距離海上哨戒能力が欠如しているのは極めて大きな問題と言えましょう。
それゆえか海上哨戒機選定は仕切り直しで再検討が行われ、2016年にアメリカ製のボーイングP-8ポセイドンが選定されて2019年10月に同機装備のNo12飛行隊が再編されて、RAFに約八年半ぶりの海上哨戒飛行隊復活となってまずは目出度い話です。
本年(2021年)にはポセイドン装備の二個目の飛行隊No201が再編予定で、この二個飛行隊によるグローバルな海上哨戒活動が期待されるところであります。

空中給油飛行隊:2個:
ロッキード・トライスターKC.1/K.1装備のNo216飛行隊、ヴィッカース・VC10K装備のNo101飛行隊

VC10K装備のNo101飛行隊は2013年9月に解散し、直後に新型空中給油機のエアバスA330装備部隊として再編されています。
トライスター装備のNo216飛行隊は2014年3月に解散していて、これでRAFの空中給油部隊はA330装備のNo101飛行隊のみとなりました。

一方、2011年末時点におけるイギリス海軍航空隊(FAA)の800番台実戦飛行隊の概要です。

戦闘攻撃飛行隊 x 0個:
FAA最後のハリアー飛行隊No800は2010年後半に解散して、ついにイギリス海軍の空母から固定翼機は姿を消します。
ハリアーの運用終了で存在意義がほぼ無くなったインヴィンシブル級空母は、予備艦として維持していた一番艦「インヴィンシブル」が2010年8月に除籍、三番艦「アークロイヤル」が2011年3月、二番艦「イラストリアス」が2014年8月に退役。
これでイギリス海軍から一時的にせよ固定翼機を運用可能な空母が消滅してしまいます。
インヴィンシブル級に代わる大型空母クイーン・エリザベス級二隻は、2010年の国防戦略見直しで現役に留めるのは一隻のみとしてもう一隻はインドへの売却やフランス海軍との共同運用などが検討されていました。
搭載機についても当初予定のF-35Bをカタパルト発進用のF-35Cに変更し、その舌の根も乾かぬうちにF-35Bに再変更と迷走を続けていました。
結局、新空母は二隻共にイギリス海軍が維持運用、搭載機はF-35Bとするというごく常識的な結論に落ち着いて、2017年12月に一番艦「クイーン・エリザベス」、2019年12月に二番艦「プリンス・オブ・ウェールズ」が就役しています。
「クイーン・エリザベス」は2020年時点で実働体制にあり、イギリス海軍の新たなシンボルとして世界の海に雄飛しつつある現状です。
前述したように現在「クイーン・エリザベス」にはF-35B装備のRAFのNo617飛行隊が展開していますが、この飛行隊はFAAのNo809飛行隊との共同運用になっています。
FAA主体で運用するF-35B部隊はこのNo809飛行隊が2023年にNo617飛行隊から独立して再編されることになっていて、この時点で洋上展開中の空母にF-35B飛行隊二個が展開できるようになるのです。

多用途ヘリコプター飛行隊 x 5個:
アグスタウェストランド・マーリンHM.2飛行隊 x4個(No814. 820. 824. 829.の各飛行隊)
ウェストランド・リンクスHAS飛行隊 x 1個(No815飛行隊)

その後、マーリンHM.1装備の飛行隊は2013年から14年にかけてアップグレード型のマーリンHM.2に機材を更新、さらにその後No829飛行隊は2018年3月にNo814飛行隊に吸収されています。
これでイギリス海軍の多用途型マーリン飛行隊は実戦2個(No814とNo820)と作戦転換1個(No824)の三個体制に移行しました。
またNo820飛行隊は2020年から後述のように早期警戒任務も兼ねています。
またリンクス装備で駆逐艦やフリゲートに展開するNo815飛行隊は2016年4月にリンクスを大幅に改良した新規量産型のアグスタウェストランド・AW159ワイルドキャットHMA.2に機種転換しました。

早期警戒ヘリコプター飛行隊 x 3個:
ウェストランド・シーキングAEW飛行隊 x 1個(No849、854、857の各飛行隊)

この後、2015年にNo854とNo857の各飛行隊はNo849飛行隊に吸収されました。
これら飛行隊は元々No849飛行隊の一部を2006年に独立させたもので、外野の素人から見ると意図が今ひとつわからない話だったのですけれど、これで元の鞘に戻ったことになります。
イギリス海軍唯一の早期警戒機部隊であるNo849飛行隊は2020年4月に解散。
これでFAAにおけるシーキングヘリコプターの第一線運用は終了です。
その任務は早期警戒用レーダーポッドを装備可能なマーリンHM.2を配備されたNo820飛行隊に引き継がれています。

輸送ヘリコプター飛行隊 x 2個:
ウェストランド・シーキングHC飛行隊 x 2個(No845とNo846飛行隊)

No846飛行隊は2013年に解散し、翌年にはマーリンヘリコプターの戦術輸送型HC.3装備で再編されています。
No845飛行隊は2015年夏にマーリンHC.3に機種改編しています。
なおこれら輸送型マーリンは、RAFのNo28及びNo78飛行隊から機材を委譲されたものです。

武装偵察・軽輸送飛行隊 x 1個:
ウェストランド・リンクスAHとガゼルの混成部隊No847飛行隊
この飛行隊は2013年にアグスタウェストランド・AW159ワイルドキャットAH.1に機種改編を行っています。
輸送ヘリコプター飛行隊へのマーリンHC.3導入と合わせて、コマンドー部隊に対する空中支援能力の向上が期待されるところです。

« 2020年12月 | トップページ | 2021年2月 »

2021年3月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

カテゴリー