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2020年8月の記事

2020年8月30日 (日)

1970年代後半のイギリス空軍(RAF)

今回は前回から引き続いて、1970年代後半のイギリス空軍(RAF)です。
これまで同様に、英語版ウィキペディアや英語のサイト「ウイングアビエーション」、雑誌「世界の傑作機」などを参考に纏めてみました。
では1976年末時点におけるRAFの戦力概要についてです。

戦闘機飛行隊:推定10個:

マクダネル・ファントムFGR.2飛行隊 x 5個(No23. 29. 41. 56. 111.の各飛行隊)
マクダネル・ファントムFG.1飛行隊 x 1個(No43飛行隊)
BAC・ライトニングF.6飛行隊 x 2個(No5. 11.の各飛行隊)
BAC・ライトニングF.2A飛行隊 x 2個(No19. 92飛行隊)

1969年からRAFへの配備が開始されたファントムFGR.2は、配備当初はイギリス本国の航空支援コマンドとRAFG(ドイツ駐留イギリス空軍)における戦術攻撃及び戦術偵察任務でしたけれど、それら部隊は1974年から配備を開始した英仏共同開発の戦術攻撃偵察機ジャガーに逐次機種改編や再編を行って、この時点ではファントムはRAFGからは一旦退いて五個飛行隊全てがイギリス本土にあり、イギリス本土防空任務にストライクコマンド指揮下のNo11グループ(かつてのファイター・コマンド)所属で四個、同じくNo38グループ(かつての航空支援コマンド)に一個(戦術攻撃任務)の配備状況になっています。
このうちNo38グループ所属のNo41飛行隊は77年春に解散の後すぐにジャガーGR.1飛行隊として再編されています。
またRAFG向けにはライトニングF.2A戦闘機の後継として77年前半にNo19とNo92飛行隊が制空迎撃戦闘機として再配備が行われています。
なおブリティッシュ・ファントムの作戦転換部隊No228OCUは、有事の際にはNo64飛行隊として実戦任務に就く「シャドー」スコードロンになっています。

海軍の余剰機であるファントムFG.1を空軍に移管して編成されたNo43飛行隊は、本土防空用としてNo11グループ所属で再配備されたファントムFGR.2と共に引き続き任務に当っています。
79年には空母「アークロイヤル」の退役によって余剰になったファントムFG.1が空軍に追加移管され、ファントムFGR.2を運用していたNo111飛行隊がFG.1に機種改編しています。

この年までにイギリス本土防空の主役の座をファントムFGR.2に譲り渡したライトニング戦闘機は、この時点でNo11グループ所属でイギリス本土防空任務に就くF.6装備の二個飛行隊、RAFGの制空迎撃任務用にF.2A二個飛行隊が配備されています。
RAFG指揮下の飛行隊は前述のように翌年前半に相次いでファントムFGR.2に機種改編していますが、イギリス本土防空任務の二個飛行隊はその後も永らく生き永らえて、冷戦末期の1988年まで配備が続行されていきます。

爆撃機/攻撃機飛行隊 x 推定20個:

アブロ・ヴァルカンB.2飛行隊 x 6個(No9. 35. 44. 50. 101. 617.の各飛行隊)
SEPECAT・ジャガーGR.1飛行隊 x 6個(No2. 6. 14. 17. 31. 54.の各飛行隊)
ブラックバーン・バッカニアS.2飛行隊 x 4個(No12. 15. 16. 208.の各飛行隊)
ホーカーシドレー・ハリアーGR.3飛行隊 x 4個(No1. 3. 4. 20.の各飛行隊)

アブロ・ヴァルカンB.2爆撃機はRAFストライクコマンド指揮下のNo1グループ(かつてのボマー・コマンド)の長距離戦術核攻撃戦力の中核として、イギリス国産のWE177B戦術核爆弾を主な運用兵器として配備中です。
1974年から実戦配備を開始した英仏共同開発の戦術攻撃偵察機のジャガーは、戦術攻撃及び偵察任務から防空任務に転換するファントムFGR.2の後継機としてこの時点でRAFGへ4個、No38グループに2個飛行隊が配備されていて、翌年にはRAFGに更に一個飛行隊が配備されます。
ジャガーは開発開始当初、RAFにおいては高等練習機として採用の意向だったのですが、その後のF-111Kと英仏共同開発のAFVG(可変翼戦術戦闘機)が揃ってキャンセルになったことで戦術攻撃機不足に直面した為、当初計画を大きく変更してフランス同様に戦術攻撃機としての採用をメインに据えた経緯があるそうです。
ブラックバーン・バッカニアS.2はRAFG指揮下の戦術核攻撃任務とイギリス本土近海の敵艦船に対する洋上阻止任務にそれぞれ二個飛行隊が配備されています。
ホーカーシドレー・ハリアーGR.3は近接航空支援用としてRAFGに3個、No38グループ1個飛行隊が配備されていますが、翌年春にはRAFG配備のNo20飛行隊が解散して実戦飛行隊は三個に減少しています。

偵察機飛行隊:推定2個

アブロ・ヴァルカンB.2(MMR)飛行隊 x 1個(No27飛行隊)
イングリッシュ・エレクトリック・キャンベラPR.9飛行隊 x 1個(No39飛行隊)

ハンドレページ・ヴィクターB(SR).2に代わって1974年からRAF唯一の長距離偵察任務に就いているヴァルカンB.2(MMR)は引き続き任務続行中です。
実戦部隊唯一のキャンベラ飛行隊No39は高高度偵察任務を続行中です。

早期警戒飛行隊:1個:

アブロ・シャクルトンAEW飛行隊 x 1個(No8飛行隊)

海軍の空母減勢で余剰になったフェアリー・ガネットAEWのレーダーセットをシャクルトン海上哨戒機に移植改造して1972年に登場したシャクルトンAEWは、RAF唯一の空中早期警戒機としてイギリス本土防空任務に就いています。

海上哨戒機飛行隊 :推定5個:

BAE・ニムロッドMR.1飛行隊 x 5個(No42. 120. 201. 203. 206.の各飛行隊)

イギリスの海上哨戒及び対潜任務を担うジェット哨戒機のBAE・ニムロッドの部隊は77年末に地中海のマルタ島駐留のNo203飛行隊が解散して、ストライクコマンド指揮下のNo18グループ(かつてのコースタル・コマンド)所属の四個飛行隊体制に移行します。
なおニムロッド部隊は1979年秋からNo206飛行隊を皮切りにニムロッドMR.2への更新が行われます。

戦術輸送機飛行隊:推定5個:

ロッキード・ハーキュリーズC.1飛行隊 x 4個(No24. 30. 47. 70. の各飛行隊)

アームストロング・ホイットワース・アーゴシー輸送機は75年に第一線を退き、RAFの戦術輸送機はアメリカ製のハーキュリーズに一本化されました。
しかしNo36飛行隊は75年に、No48飛行隊はこの年に解散していて、スエズ以東からの軍事力撤退で戦術輸送機部隊の所要数が減少したことを表しています。

空中給油機飛行隊: 3個

ハンドレページ・ヴィクターK.1/K.2飛行隊 x 3個(No55. 57.214.の各飛行隊)

この当時はエンジン推力が不足気味のヴィクターK.1から、よりパワフルで空中給油機としての完成度を高めたヴィクターk.2(戦略爆撃機ヴィクターB.2からの改造機)への機種改編が行われていて、No214飛行隊は77年1月に解散し残りの二個飛行隊はヴィクターK.2部隊として任務に就くことになります。

2020年8月23日 (日)

1970年代前半のイギリス空軍(RAF)

今回は1970年代前半のイギリス空軍(RAF)です。
これまで同様に、英語版ウィキペディアや英語のサイト「ウイングアビエーション」、雑誌「世界の傑作機」などを参考に纏めてみました。
では今回は1971年末時点におけるRAFの戦力概要についてです。

戦闘機飛行隊:推定19個:
マクダネル・ファントムFGR.2飛行隊 x 6個(No2. 6. 14. 17. 31. 54. の各飛行隊)
マクダネル・ファントムFG.1飛行隊 x 1個(No43飛行隊)
BAC・ライトニングF.6飛行隊 x 6個(No5. 11. 23. 56. 74. 92.の各飛行隊)
BAC・ライトニングF.3飛行隊 x 3個(No29. 111.の各飛行隊)
BAC・ライトニングF2A飛行隊 x 2個(No19. 92.の各飛行隊)
ホーカー・ハンターFGA.9飛行隊 x 1個(No8飛行隊)

RAF向けのブリティッシュ・ファントムFGR.2は1969年から実戦部隊への配備が開始されて、1971年末時点では5個飛行隊が実働しています。
イギリス本国にあって陸軍の作戦を支援する戦闘攻撃機と輸送機の混成部隊である航空支援コマンド指揮下にNo6. 54. の各飛行隊、RAFG(ドイツ駐留イギリス空軍)にNo2. 14. 31. 17.の各飛行隊という配備状況です。
この後、72年春に航空支援コマンド指揮下のNo41飛行隊が再編されます。
なお、航空支援コマンドは72年7月にストライクコマンドに統合されて、その指揮下のNo38グループになっています。
ファントムFGR.2の任務はこのいずれにあっても戦術攻撃と戦術偵察で、搭載するせっかくのパルスドップラーレーダーFCSも本領発揮とはいかないのですけれど、ファントムは退役が急速に進むハンターやキャンベラの後継機として攻撃偵察任務に就かせるのを最優先にせざるを得なかったのです。
ファントムFGR.2の本領発揮となる制空及び防空任務への転換は、フランスとの共同開発機であるジャガー戦術攻撃偵察機の実戦配備が始まる1974年春からになります。

本来は海軍向けのファントムFG.1は、搭載予定の新型空母CVA-01計画が1966年に中止されたことで余剰機が発生し、空軍がそれを引き取って1969年に本機装備のNo43飛行隊を再編制して本国防空任務に就かせています。

イギリス最初にして最後の純国産マッハ2級戦闘機であるライトニングは、ストライクコマンド指揮下でイギリス本土防空任務に就くNo11グループ傘下のライトニングF.3及びF.6飛行隊8個と、RAFG指揮下で冷戦の最前線において迎撃任務につくライトニングF.2A装備の2個飛行隊です。
これらライトニング部隊で、限定的ながらコリジョンコースでの要撃が可能なレッドトップ空対空ミサイルの搭載能力を持たないのはRAFG指揮下のF.2Aですが、これは近い将来のファントム配備を見越しての措置だったのか、あるいはドイツという配備地域の特性から、侵入してくる敵機は戦術機の低空侵攻(つまり大抵は高亜音速)なので、超音速飛行する敵機の機体の空力過熱による赤外線に食いつくレッドトップミサイルの特性は必要ないと割り切っての事だったのか、個人的に大変興味のあるところです。

1960年代末まで中東と東南アジアに駐留する戦闘攻撃飛行隊に配備されていたホーカー・ハンターは1968年の「スエズ以東からのイギリスの軍事力撤退」決定によって次々と退役し、ハンター装備の最後の実戦部隊であるNo8飛行隊はこの時期は既に次の装備機であるアブロ・シャクルトンAEW早期警戒機への改編に入っていて、戦力としては最早機能していないと思われます。
No8飛行隊は翌年1月にシャクルトンAEWを装備するRAF初の早期警戒飛行隊として再出発しています。
第一線飛行隊からはこれで引退のハンターですが、その優れた操縦性と頑丈な機体構造からこの後の練習機や訓練支援機、バッカニア攻撃機の機種転換用とまだまだ現役を続けることになります。
作戦転換部隊のNo228OCUはその傘下にハンター装備の三個飛行隊を有していて、そのうち二個飛行隊は所謂「シャドー」スコードロンとして有事の際には現役復帰して実戦任務に就くこととされていました(No79. 234.の各シャドー飛行隊)。
このNo228OCUは1974年に戦術兵器訓練部隊のNo1TWUに改編されて、ハンターのシャドー飛行隊任務は1979年まで続く事になります。

攻撃・爆撃機飛行隊:推定14個:
アブロ・バルカンB.2飛行隊 x 7個(No9. 27. 35. 44. 50. 101. 617.の各飛行隊)
イングリッシュ・エレクトリック。キャンベラB(I)8飛行隊 x 2個(No3. 16.の各飛行隊)
ブラックバーン・バッカニアS2飛行隊 x 2個(No12. 15.の各飛行隊)
ホーカーシドレー・ハリアーGR.1飛行隊 x 3個(No1. 4. 20.の各飛行隊)

RAFの戦略核任務は1970年12月31日をもって正式に終了し、イギリス最後の戦略爆撃機であったアブロ・ヴァルカンB.2は1968年にキャンセルされたF-111K戦術戦闘機の代替の一部となる長距離超低空侵攻戦術核攻撃任務に就いています。

1951年以来、RAFの戦術攻撃能力を担ってきたキャンベラ爆撃機は、この時点で実戦部隊は僅か二個飛行隊です。
いずれもRAFG(ドイツ駐留イギリス空軍)所属ですが、No3飛行隊は翌年1月にハリアーGR.1に機種改編、爆撃機型キャンベラ最後の実戦部隊であるNo16飛行隊は72年秋にバッカニア攻撃機に機種改編を実施、これでRAFの第一線から爆撃機型キャンベラは姿を消しました。

前述のヴァルカンB.2と共に、キャンセルされたF-111Kの代替としてRAFG指揮下の超低空侵入戦術核攻撃任務とイギリス近海の洋上阻止任務に就くバッカニアS.2攻撃機はRAFGにNo15飛行隊が、イギリス本土にNo12飛行隊がそれぞれ配備されています。
74年秋までには、RAFGとイギリス本土に各二個飛行隊が配備されて、戦術核攻撃と洋上阻止任務にそれぞれ当る体制が確立しています。

世界初の実用V/STOL攻撃機であるホーカーシドレー・ハリアーGR.1はNo4とNo20飛行隊がRAFGに配備、No1飛行隊は上述の航空支援コマンドの指揮下にあります。
RAFのハリアー部隊はキャンベラ爆撃機から1972年1月に機種改編するNo3飛行隊をもって、計4個の体制を確立。
これら飛行隊は72年秋から翌年末にかけて機首にレーザー測距追尾システムを搭載して対地攻撃精度を向上させたハリアーGR.3に機種改編しています。

偵察機飛行隊 x 推定2個:
ハンドレページ・ヴィクターB(SR)2飛行隊 x 1個(No543飛行隊)
イングリッシュ・エレクトリック・キャンベラPR.7/9飛行隊 x 1個(No39飛行隊)

長距離偵察機のヴィクターB(SR)2を装備する唯一の飛行隊No543は1974年5月に解散。
ヴィクターB(SR)2の後継機はヴァルカンB.2(MMR)で、本機を装備するNo27飛行隊は71年末時点ではヴァルカンB.2装備の爆撃飛行隊ですが翌年春に一旦解散、73年秋に長距離レーダー偵察型のヴァルカンB.2(MMR)飛行隊として再編されています。
なお偵察機のカテゴリには入れていませんが、1970年末に退役したハンターFR.10戦闘偵察機の後継として、上述のファントムFGR.2部隊のうちRAFG指揮下のNo2とNo31飛行隊が戦術偵察を第一の任務とした部隊として活動しています。

戦術爆撃任務からは1972年秋をもって退いたキャンベラですが、高高度偵察用としては一個飛行隊のみに数を減らしながらも依然として現役です。

海上哨戒機飛行隊 x 推定6個:
BAE・ニムロッドMR.1飛行隊 x 5個(No42. 120. 201. 203. 206.の各飛行隊)
アブロ・シャクルトンMR.2飛行隊 x 1個(No204飛行隊)

イギリス初のジェット海上哨戒機のBAE・ニムロッドはアブロ・シャクルトンに代わってRAFストライクコマンド指揮下のNo18グループ(かつてのコースタル・コマンドの後身)の主力機の座に就いています。
完全与圧のジェット哨戒機は乗員たちにとってさぞや快適であったことでしょう。
最後の海上哨戒型シャクルトン部隊のNo204飛行隊は72年秋に解散。
これで第二次大戦後半に勇名(悪名)を馳せたアブロ・ランカスター爆撃機直系の子孫は、72年1月に部隊発足のシャクルトンAEW早期警戒機のみとなりました。

戦術輸送機飛行隊 x 推定7個:
ロッキード・ハーキュリーズC.1飛行隊 x  6個(No24. 30. 36. 47. 48. 70. の各飛行隊)
アームストロング・ホイットワース・アーゴシー飛行隊 x 1個(No70各飛行隊)

1965年に計画中止されたSTOL戦術輸送機HS681の代替として採用されたアメリカ製のロッキード・ハーキュリーズC.1はRAF戦術輸送の主力としてその地位を確固たるものにしています。
アームストロング・ホイットワース・アーゴシーは戦術輸送任務としてはキプロスに配備されているNo70飛行隊を残すのみとなっていて、この部隊は75年に解散しています。

空中給油飛行隊 x 推定3個:
ハンドレページ・ヴィクターK.1飛行隊 x 3個(No55. 57. 214.の各飛行隊)

ヴィクターK.1空中給油機はエンジン推力が不足気味でRAFの要求を完全に満たす機体ではなかったようですけれど、この時期には戦略爆撃任務を1968年に退いたヴィクターB.2の空中給油機への改造計画がスタートしています。

またRAF所属のエリアディフェンス用地対空ミサイルについては、1971年末時点で実戦配備されているブラッドハウンドMkⅡ運用部隊はNo25(おそらくRAFG)、No112(キプロス)の二個飛行隊のみになっています。
1966年末時点ではNo25、41(いずれもイギリス本土、ボマーコマンドの基地防御用)とNo33(マラヤ)、No65(シンガポール)、No112(キプロス)の五個飛行隊で、RAFの戦略核任務終了に伴ってNo25はRAFGに移転、No41は解散しています。
No33はイギリスのスエズ以東からの軍事力撤退に基づいて69年初頭に解散、No65は1970年に独立して誕生したシンガポール空軍に提供、No112は75年7月に解散しています。

2020年8月 9日 (日)

1960年代後半のイギリス海軍航空隊(FAA)

今回は前回「1960年代前半のイギリス海軍航空隊(FAA)」に引き続いて、1960年代後半のイギリス海軍航空隊(FAA)とその活躍の舞台であるイギリス海軍の空母の状況についての概要です。
これまでと同様に、ウィキペディア英語版と英語サイト「ウィングス-アビエーション」、雑誌「世界の傑作機」を情報ソースとして纏めてみました。

では最初に1966年末時点におけるFAAの800番台の第一線飛行隊の概要です。

戦闘飛行隊:4個:
デ・ハヴィラント・シーヴィクセンFAW.2飛行隊 x 3個(892. 893. 899.の各飛行隊)
デ・ハヴィラント・シーヴィクセンFAW.1飛行隊 x 1個(890飛行隊)

シーヴィクセンFAW.2は迎撃レーダーを改良して、限定的ながらコリジョンコースでの要撃が可能な赤外線誘導型空対空ミサイル・レッドトップの運用を可能としたタイプです。
シーヴィクセンFAW.2装備飛行隊のうち、899NASは通常は空母に展開しない司令部飛行隊なので、FAW.2装備の母艦飛行隊は二個になります。
FAW.1装備飛行隊と合わせても母艦戦闘機飛行隊はたったの3個。
斜陽著しいイギリス海軍空母の現実が如実に現れているのです。
なにしろこの時点では現役空母は三隻で、他に1隻が長期改装中。
戦闘機飛行隊は各母艦に一個の配置なので、三個あれば稼動艦の飛行隊需要を完全に満たしてしまうのが寂しいところなのです。
なお、スーパーマリン・シミター戦闘攻撃機は1966年10月に最後の実戦飛行隊803NASが解散したことで、第一線から退いています。

遷音速全天候戦闘機シーヴィクセンの後継戦闘機としては、前回述べたように1964年7月にアメリカ製F-4ファントムの採用が政府承認されて、エンジンを後述のバッカニアS.2に搭載したイギリス国産のターボファンエンジン「スペイ」のリヒート(アフターバーナー)追加タイプに換装するなどの改良を加えたファントムFG.1として発注されていますが、後述の新型空母「CVA-01」計画の中止と空母「イーグル」のファントム適合改装の取りやめでこの機の運命は大きく変わっていってしまうのです。

攻撃飛行隊:3個:
ブラックバーン・バッカニアS.2飛行隊 x 3個(800. 801. 809.の各飛行隊)
ターボジェットエンジン搭載の暫定型といえるバッカニアS.1から、ターボファンエンジンを搭載してこの機体の持つ超低空侵攻のポテンシャルを充分に引き出せるようになったバッカニアS.2は、バッカニアS.1装備の801NASが1965年秋に本機へ機種改編したことで実戦配備が始まりました。
この年の末までに攻撃飛行隊はバッカニアS.1からS.2への更新を完了しています。

早期警戒飛行隊:1個(849NAS、フェアリー・ガネットAEW装備)
アメリカから供与されたスカイレイダーAEWのレーダーを移植して誕生したターボプロップ機のガネットAEWは、各空母に4機からなる分遣隊を派遣して空母部隊の早期警戒任務に当たっています。

対潜ヘリコプター飛行隊:推定4個:
ウェストランド・ウェセックスHAS.3飛行隊 x 1個(814飛行隊)
ウェストランド・ワスプHAS.1飛行隊 x 1個(829飛行隊)
ウェストランド・ホワールウィンドHAS.7飛行隊 x 2個(824. 825. の各飛行隊)

ターボシャフトエンジン搭載のウェストランド・ウェセックスは対潜用としては短期間の運用に終わったHAS.1を改造したHAS.3が登場。
空母とイギリス海軍初のミサイル駆逐艦「カウンティ」級に配備されています。
1950年代後半に登場したウェストランド・ホワールウィンドはこの時点でも未だ対潜ヘリコプターの主力を形成しています。
ホワールウィンドHAS.7のうち12機がターボシャフトエンジンに換装されてHAS.9になっていますけれど、部隊単位で配備されているかについては確認できませんでした。
829NASに配備されているワスプHAS.1は対潜魚雷投射用の小型ヘリコプターで、この頃増勢しつつあったヘリコプター搭載フリゲートに配備されています。

輸送ヘリコプター飛行隊:推定2個:
ウェストランド・ウェセックスHU.5飛行隊 x 2個(845. 848.の各飛行隊)
イギリス海兵隊(コマンドー)輸送用のヘリコプター飛行隊は、ウェセックスの汎用型HU.5装備の二個飛行隊体制になっています。
1962年から63年にかけては、これらの飛行隊とは別にホワールウィンド装備の二個飛行隊が再編されていたのですが、64年には解散してしまっています。

次にこれら飛行隊が展開する空母の1966年末時点の状況について。
イギリス海軍待望の新型大型空母「CVA-01」計画は、ファントムなどの新型艦載機の運用が困難な中型空母「ヴィクトリアス」と「ハーミーズ」を置き換える為に当面二隻の建造が求められていて、1963年夏に「ヴィクトリアス」の後継として一番艦の建造が承認されます。
この空母の満載排水量は63,000トンで、既存の大型空母「イーグル」「アークロイヤル」よりも一万トンほど大きく、固定翼艦載機の数は大改装後の「アークロイヤル」よりも8機多い40機になります。
しかし1964年秋の総選挙で労働党政権が誕生すると、政府や財務省からは防衛支出削減の観点から、空軍からは当時開発中の新型攻撃機TSR2の予算確保の観点から計画中止の圧力を受けることとなり、翌年のTSR2計画中止と代替のアメリカ製F-111戦術戦闘機導入決定、そしてスエズ以東からの軍事力削減という政府方針を謳った「1966国防白書」によって計画は全面中止されてしまいました。
空軍はF-111飛行隊によって従来は海軍の空母が担っていた遠隔地における航空戦力投射を代替できるという主張が通った形になったのですけれど、そのF-111導入計画も1967年の英ポンド切り下げに伴う導入コストの四割増に耐えかねた政府によって葬り去られてしまったのです。
本来であればこれで少なくとも既存の空母の運用継続が認められるところなのですけれど、イギリス政府は1968年にスエズ以東の軍事力全面撤退を決定。
スエズ以東の遠隔地における航空戦力の投射を主たる任務としていたイギリス海軍の艦隊型空母はこの決定で存在意義を失ってしまい、「イーグル」は「アークロイヤル」に続いて予定されていたファントムFG.1運用の為の改装計画が1970年に中止確定となり、「ハーミーズ」は1966年から足掛け5年に及ぶ大改装を終えて1970年中盤に復帰した「アークロイヤル」に席を譲って艦隊型空母としての使命を終えて、コマンドー母艦へ改造されることになりました。

現役艦(稼動中):3隻
「イーグル」「ハーミーズ」「ヴィクトリアス」

このうち「ヴィクトリアス」は最後の海外展開を控えた1967年11月に火災事故に見舞われて、損害自体は修理の許容範囲であったものの、退役目前の空母の修理に予算を割く余裕はないとされて翌年春に退役させられてしまいます。

長期改装中:1隻:
「アークロイヤル」

「アークロイヤル」はファントムFG.1戦闘機の運用適合化と装備の近代化、オーバーホールの大改装を1966年秋から実施中で、艦隊復帰は1970年になります。

コマンドー母艦:2隻:
「アルビオン」「ブルワーク」

1965年に退役した「セントー」のコマンドー母艦への改造はコストの問題で却下されています。

この他にウェセックス対潜ヘリコプターを搭載する大型艦として、軽巡洋艦「ブレイク」が1965年から69年にかけて対潜ヘリコプター巡洋艦として大改装を実施して再就役しています。
ウェセックスヘリコプターを4機搭載し、充実した対潜指揮能力を備えた艦ですがその改造コストは当初見積もりの二倍を優に越えて、再就役後はその対潜能力を高く評価される一方で多数の乗組員(定員900名弱)を必要とする点が大きな問題になっていくのです。

2020年8月 2日 (日)

1960年代前半のイギリス海軍航空隊(FAA)

前回までの「1960年代のイギリス空軍(RAF)」に関連して、今回は1960年代前半のイギリス海軍航空隊(FAA)とその活躍の舞台であるイギリス海軍の空母の状況についての概要です。
これまでと同様に、ウィキペディア英語版と英語サイト「ウィングス-アビエーション」、雑誌「世界の傑作機」を情報ソースとして纏めてみました。

では最初に1961年末時点におけるFAAの800番台の第一線飛行隊の概要です。

戦闘飛行隊:7個:
デ・ハヴィラント・シーヴィクセンFAW.1飛行隊 x 4個(890. 892. 893. 899.の各飛行隊)
スーパーマリン・シミターF.1飛行隊 x 3個(800. 803. 807.の各飛行隊)

899NASは空母への展開を通常は行わない司令部飛行隊なので、実際に空母に展開するシーヴィクセン飛行隊は他の三個になります。
シーヴィクセンは1950年代末から実戦配備を開始した遷音速全天候迎撃戦闘機で、1960年末に第一線から退いたデ・ハヴィラント・シーヴェノムの任務を引き継ぐ他に、副次的任務として対地/対艦攻撃や戦術偵察任務も受け持ちます。
搭載する迎撃レーダーのAI.Mk18は高度6000m以上を飛行するキャンベラ爆撃機を28マイル(約52km)で探知できたそうですが、シーヴィクセンの先代の艦上迎撃戦闘機シーヴェノムのMk.21レーダーは海面上における最大探知距離が約40kmだったので、地上マッピング機能の実装化などレーダーの機能面での改善はあったにせよ、シーヴィクセンの目標探知能力はシーヴェノムと比べても驚くほどの向上は無かったのでは?と素人としては考えてしまうところです。
シーヴィクセンFAW.1の主力兵器は敵機の後方からのみロックオン可能な赤外線誘導のファイアストリークミサイルで、迎撃において重要なコリジョンコースの要撃には空対空ロケット弾しか攻撃手段がありません。
同時期に実用化されたアメリカ海軍のマクダネルF3Hデモン全天候戦闘機はコリジョンコースでの迎撃用に最初はビームライダー誘導方式のスパローⅠ、後にはF-4ファントムの主力兵器としても有名なセミアクティブレーダー誘導方式のスパローⅢを運用していましたから、この面でもシーヴィクセンの技術的遅れは目立ってしまうのです。
シーヴィクセンの後継機としては超音速機でかつV/STOL機でもあるという、今日見ても非常に野心的な戦闘機・P1154が空軍と海軍用に当時開発に入っていました。
海軍向けは複座で迎撃レーダーを装備するものでしたが、搭載力に限度のあるV/STOL機ではFAAの望む高性能のレーダーFCSや航続性能は実現困難です。
結局イギリス海軍は1963年にP1154を採用しないことを決定し、代替として当時のアメリカ海軍/海兵隊の最新鋭機であるマクダネルF-4ファントムの採用が1964年7月に政府承認を受けて、米海軍向け最新バージョンであるF-4Jの準同型機であるファントムFG.1として発注されることになるのです。

スーパーマリン・シミターはシーヴィクセンよりやや先行の1958年から実戦配備を開始したイギリス海軍の戦闘機としては最初の遷音速機です。
その任務は1960年末に第一線を退いたホーカー・シーホークのそれを引き継ぐ対地/対艦攻撃と昼間空対空戦闘で、1962年から配備が始まったイギリス最初の戦術核爆弾「レッドベアード」(核出力最大25キロトン)の運用能力も追加されていました。
ウィキペディアを見ると、シミターの空対空兵装としてアメリカ製の赤外線誘導式空対空ミサイル・サイドワインダーが挙げられていますけれど、シミターがいつ頃からサイドワインダーの運用を開始したのか、この辺が今後出る(のかな?)「世界の傑作機」でぜひ解明してほしいところです。
1961年時点でイギリス空軍の戦闘機はサイドワインダーを使っておらず、導入されるのは1960年代末のファントムFGR.2の配備開始に伴ってですし、海軍にしても1970年代初めに母艦運用を開始したファントムFG.1においてでした。
従ってシミターこそは、サイドワインダーミサイルを最初に運用したイギリス戦闘機ということになるので、その配備時期は私のようなイギリスマニアにとって大変に重要な話なのですよ。

この時期のイギリス海軍航空隊には純然たる攻撃機は存在せず、シミターが攻撃機的運用を行い、シーヴィクセンがそれを補完している状態でした。
もっともこのような体制は戦後のイギリス海軍航空隊の常態に近い形で、シーヴィクセンとシミター以前の戦闘機コンビ、シーヴェノムとシーホークが攻撃機的運用を行っていたのでした。
ファイアブランド、ワイバーンと戦後の雷撃機や攻撃機がいずれも実用性や性能に難があったのが要因のひとつと言えますが、イギリス海軍の空母飛行隊に斜陽の時代が訪れつつあるこの時期に、ようやくFAAのお眼鏡に叶う高性能の攻撃機が完成をみるのです。
それがブラックバーン・バッカニア。
最初から超低空侵攻を主戦術として設計開発されたおそらく世界初の攻撃機で、当初の開発目的は増大するソ連水上艦隊に対して核攻撃を敢行することでした。
バッカニアを装備する最初の実戦飛行隊、801NASは1962年7月に再編されて、1963年8月には空母「ヴィクトリアス」に展開して最初の海外展開を実施しています。
1964年3月にはバッカニアの二つ目の実戦飛行隊800NASが再編されて、この年の年末に大改装を終えて現役に復帰した空母「イーグル」に乗艦して海外展開を行っています。
ただこの二つの実戦飛行隊に配備されたバッカニアは最初の量産型のS.1で、ターボジェットエンジン搭載型です。
低空における燃費のよくないターボジェットエンジン搭載で低空侵攻任務を行うのでは、せっかくのバッカニアの機体設計の価値を半減させてしまいますし、エンジン自体も当時から気温の高い地域での推力低下が欠点として指摘されていたのです。
バッカニアの機体のポテンシャルを真に発揮させるには、また小柄なイギリス海軍の空母での運用をより確かなものにするためには静止推力が高く低空侵攻時の燃費にも優れたターボファンエンジンへの換装が必要で、それは実際に実行されていくのです。

早期警戒飛行隊 x 1個:フェアリー・ガネット早期警戒飛行隊(849飛行隊)
艦上対潜哨戒機として、1956年末時点では五個飛行隊に配備されていたターボプロップ機のガネットですが、1960年までにイギリス海軍初の対潜ヘリコプターのウェストランド・ホワールウィンドにその任を譲り、1961年に退役したアメリカからの供与品のスカイレイダーAEW機の後任として早期警戒機に改造されて新たな任務に就いています。
とはいえ、早期警戒機にとって肝心要のレーダーはスカイレイダーからの移植で済ませていて、なんとも安直な施策だなぁと思ってしまうのです。
この時点ではイギリス海軍の空母運用はずっと続けるつもりだったのでしょうし、それなら1970年代を見据えた新たなレーダー開発という選択肢は無かったものかと。
まぁやはり、財政的にそれは厳しかったのかもしれませんが。

対潜ヘリコプター飛行隊 x 5個:
ウェストランド・ウェセックスHAS.1飛行隊 x 2個(815. 819の各飛行隊)
ウェストランド・ホワールウィンドHAS.7飛行隊 x 3個(814. 824. 825. の各飛行隊)

フェアリー・ガネットに代わって、1958年から配備されたイギリス海軍初の対潜ヘリコプターがウェストランド・ホワールウィンド。
と言いましてもイギリス国産機ではなく、アメリカ製シコルスキーS-55のライセンス生産機です。
エンジンは未だレシプロエンジンで、単独での対潜捜索攻撃能力は無いという過渡期の産物です。
センサー搭載のハンターと魚雷や爆雷を搭載するキラーのコンビで任務に当たっていました。
二機一組でないと任務達成が不可能で、エンジンはガソリンを燃料とするピストンエンジンとあっては、この時点での母艦における対潜任務を全面的に担わせるのは少々酷なのでは?と思うところです。
1960年代初めのアメリカ海軍の対潜空母は、固定翼機のグラマンS2Fトラッカーを主力対潜機として、対潜ヘリコプターはそれを補完する二義的存在でした。
イギリス海軍も本来はガネットとホワールウィンドの二本立てで行きたいところなのでしょうけれど、肝心な母艦の大きさがアメリカ海軍とでは違いすぎますし攻撃空母と対潜空母の双方を保有する余裕もありません。
それにそもそも当時のイギリス空母の主要な任務は対ソ連ではなく、中東や東南アジアのイギリスの植民地や独立した旧植民地、保護国に対する軍事的プレゼンスにあったので、空母機の対潜任務については敵性発展途上国の保有する、もしくは近い将来に保有するであろう第二次大戦型の潜水艦を叩ければそれでよしと割り切っていたのかもしれません。

ウェストランド・ウェセックスはこれもアメリカ製シコルスキーS-58のライセンス生産機で、この年から部隊配備が始まった最新鋭ヘリコプターです。
レシプロエンジン搭載のオリジナル版S-58とは違っていち早くターボシャフトエンジンを採用しているのがウェセックスの一大特徴ですが、当機もまだ単独で捜索攻撃を実施できるレベルには至っておらず、ハンターとキラーの二機一組での運用になります。
ウェセックスHAS.1は部隊配備はされたものの、この時点では対潜用としては問題があったようでその任務は短期間のうちに対潜から捜索救難に変更されています。
また、対潜ヘリコプター飛行隊は1964年3月に829NASがウェストランド・ワスプHAS.1装備で再編されています。
ワスプはセンサーを持たず、対潜魚雷投射専用の小型ヘリコプターで、空母ではなく主にフリゲートへ展開しています。

輸送ヘリコプター飛行隊 x 推定1個:
ウェストランド・ホワールウィンドHAS.7飛行隊 x 1個(849飛行隊)

コマンドー母艦に展開してイギリス海兵隊(コマンドー)の輸送任務に就く輸送ヘリコプター飛行隊は、1961年末時点ではまだ849NASのみのようです。

これら航空隊の活躍の舞台となるイギリス海軍航空母艦の1961年末時点の状況は下記の通りです。

現役艦(稼動艦):3隻
「アークロイヤル」「セントー」「ヴィクトリアス」

「アークロイヤル」は同型艦の「イーグル」と共に、当時のイギリス海軍最大の空母ですが、起工から完成までに長期間を要したためにその間に船体各部の劣化を生じていて色々とトラブルの多い母艦だったそうです。
「ヴィクトリアス」は第二次大戦中のイギリス海軍主力艦隊空母イラストリアスグループの最後の生き残りで、1958年に足掛け9年に及ぶ大改装を終えて現役復帰してからこの時点で三年が経過しています。
「セントー」は1950年代中盤に三隻が完成したセントー級艦隊軽空母のネームシップで、同型三隻中この艦のみがカタパルトの油圧型から蒸気型への換装、アレスティングワイヤの更新などの改装を受けて、艦隊任務用空母として現役に留まっていました。
この改造なくしては遷音速機のシーヴィクセン全天候迎撃戦闘機やシミター戦闘攻撃機の運用は不可能で、改造を実施しなかった他の二隻、「アルビオン」と「ブルワーク」は艦隊空母としての運用を諦めてコマンドー母艦に改造されています。
しかし「セントー」はシミター戦闘攻撃機の後継として配備されたブラックバーン・バッカニアS.1攻撃機の運用は不可とされた為、退役時の搭載固定翼機はシーヴィクセン12機とガネットAEW4機という戦力的価値に乏しい存在になってしまいます。
結局、「セントー」は1965年9月に退役、コマンドー母艦への改造も検討されましたがコストの問題で見送られて1972年にスクラップとして売却されました。

現役艦(長期改装及びドック入り):2隻
「イーグル」「ハーミーズ」

「イーグル」は「アークロイヤル」の同型艦で、この時期は長期改装中で現役復帰は1964年になります。
1959年に就役した中型空母のハーミーズはこの時期は地中海展開から帰投したばかりで、次の海外展開に備えて修理と休養に入っています。

現役艦(コマンドー母艦):1隻
「ブルワーク」

コマンドー母艦としては「ブルワーク」の同型艦「アルビオン」が艦隊軽空母から転換改装中で、翌年に改装を終了して現役復帰しています。

これら空母のうち、早期退役の「セントー」は別にしても中型の「ヴィクトリアス」と「ハーミーズ」ですら、その船体規模や発展余裕の少なさから、近い将来の新型艦載機の運用には問題があることがこの当時から認識されていました。
「ヴィクトリアス」と「ハーミーズ」は「セントー」とは異なって新型攻撃機のバッカニアの運用が可能でしたけれど、それ以上のレベルの機体、つまりF-4ファントムのようなヘビー級の超音速戦闘機運用はかなりの無理があったのです。
実際、後に「ハーミーズ」でのファントム運用が検討された際には、発艦時に「イーグル」や「アークロイヤル」での運用よりも燃料を半分に減らす必要があったそうです。
その為、さしあたりこの2隻の代替として大型の新型空母建造が求められることになり、「CVA-01」計画として具体化していくことになります。

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