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2020年7月 4日 (土)

1960年代前半のイギリス空軍(RAF)その一(1961年末時点の戦力概要)

前回「1950年代後半のイギリス空軍その3」に引き続き、今回から1960年代のイギリス空軍(RAF)について備忘録的に述べていきたく存じます。
英語版ウィキペディアや英語のサイト「ウイングアビエーション」、雑誌「世界の傑作機」などを参考に纏めてみました。
多少の誤記はあるかと思いますが、大勢としては誤りは少ないだろうと自負しているところです。

では今回は1960年代前半のイギリス空軍その一として、1961年末時点におけるイギリス空軍の戦力概要について。

戦闘機部隊:推定23個飛行隊
BAC・ライトニングF.1/F.1A x 3個(No56. 74. 111.の各飛行隊)
グロスター・ジャベリンFAW.9 x 6個(No23. 29. 33. 41. 60. 64. の各飛行隊)
グロスター・ジャベリンFAW.7 x 1個(No25飛行隊)
グロスター・ジャベリンFAW.4 x 2個(No5. 11.の各飛行隊)
ホーカー・ハンターFGA.9飛行隊 x 6個(No1. 8. 20. 43. 54. 208.の各飛行隊)
ホーカー・ハンターF.6飛行隊 x 4個(No14. 63. 92. 145.の各飛行隊)
デ・ハビランド・ヴェノムFB.4飛行隊 x 1個(No28飛行隊)

かの「1957国防白書」で「対爆撃機の防空体制は時代遅れ」とされて、新型超音速迎撃戦闘機計画にキャンセルの大ナタが振るわれる嵐を唯一生き延びた、イングリッシュ・エレクトリック社開発の超音速迎撃戦闘機・ライトニングは1960年6月にNo74飛行隊がホーカー・ハンターF.6からライトニングF.1に機種改編したのを皮切りに、実戦配備が始まっています。
世界初の戦闘機用モノパルスレーダーと言われるAI.23(従来よりも高い解像度と対妨害性を有する)を搭載し、マッハ2を余裕で叩き出す超音速飛行性能を誇るライトニングですが、超音速テスト機上がりゆえに航続性能が著しく不足しているのと直列装備の大出力の双発エンジンの配置が近すぎることによるエンジン火災の多発、そして運用する空対空ミサイルが当初は敵機後方からのロックオンしか出来ない赤外線誘導のファイアストリークでコリジョンコースでの要撃能力が無いなど、新世代の迎撃戦闘機としては様々な問題を抱えた存在でもありました。

1956年初めから実戦配備を開始した遷音速全天候迎撃戦闘機のグロスター・ジャベリンはこの時点ではイギリス空軍戦闘機部隊の主力で、推定9個飛行隊が本機を運用し、在独イギリス空軍(RAFG)にもNo5とNo11飛行隊が配備されています。
装備するジャベリンFAW.4、FAW.7、FAW.9はいずれもイギリス製のAI.17迎撃レーダー搭載型で、アメリカ由来のAI.22迎撃レーダー装備のFAW.2やFAW.6は退役しているのが要注目でしょう。
レーダーに関する問題でこのような形になったのは素人でも想像のつくところで、TWSが可能な最も初期の空対空レーダーと言われるAI.22の信頼性に問題が生じたのか、保守整備に大きな問題があったのか、その辺はいずれ出るであろう「世界の傑作機・グロスター・ジャベリン」で詳細解説していただきたいところであります。

1950年半ばから末にかけてイギリス空軍の主力戦闘機として君臨した遷音速戦闘機のホーカー・ハンターは、「1957国防白書」後の通常戦力削減でその勢力を大きく減じ、1961年末時点で戦闘機型のF.6の装備飛行隊は僅か4個に。
たった五年前にはF.4、F.5、F.6の各型合計で29個飛行隊に配備されていたというのに。
そしてこの時点でハンターF.6を装備する4個飛行隊も、63年までに他機種に転換してしまいます。
一方、ハンターF.6の機体構造と空調装備を強化して、対地攻撃能力を向上し中東などの酷暑地での作戦能力を向上した戦闘爆撃機型のハンターFGA.9はデ・ハビランド・ヴェノムに代わる地上攻撃・近接航空支援用機材として再配備が進みました。
ハンターFGA.9は1960年初頭から、中東配備のNo8飛行隊がヴェノムFB.1から機種転換したのを皮切りに配備が始まっています。
1961年末時点では、イギリス本土に展開するNo38グループ(陸軍作戦支援用の攻撃・偵察・輸送部隊)所属のNo1とNo54飛行隊、極東空軍所属のNo20飛行隊(シンガポール駐留)、中東配備のNo8. No43. No208.の各飛行隊という配備状況です。
ハンターFGA.9にその座を譲って引退したヴェノム戦闘爆撃機最後の実戦飛行隊がNo28で、1962年5月にハンターFGA.9に機種転換。
これをもってヴェノムのイギリス空軍における第一線配備に終止符が打たれたのです。

爆撃機部隊:推定26個飛行隊
ハンドレページ・ヴィクターB.1/B.1A飛行隊 x 4個(No10. 15. 55. 57.の各飛行隊)
アブロ・ヴァルカンB.2飛行隊 x 4個(No27. 50. 83.617.の各飛行隊)
アブロ・ヴァルカンB.1飛行隊 x 2個(No44. 101.の各飛行隊)
ビッカース・ヴァリアントB.1飛行隊 x 6個(No7. 18. 49. 138. 148. 207.の各飛行隊)
イングリッシュ・エレクトリック・キャンベラ飛行隊 x 10個(No3. 6. 14. 16. 32. 45. 73. 88. 213. 249. の各飛行隊)

イギリス空軍爆撃機軍団(ボマー・コマンド)のジェット戦略爆撃機の本命たる、ハンドレページ・ヴィクターとアブロ・ヴァルカンが戦列に加わって、ビッカース・ヴァリアントに代わるボマー・コマンドの主力になりつつあります。
ヴィクターは1958年春にNo10飛行隊に配備を開始したのを皮切りに、1961年末時点で4個飛行隊が装備。
ヴァルカンは1957年春にNo83飛行隊に配備を開始したのを皮切りに、この時点でB.1とエンジンを換装しそれに合わせてインテイクを改良したB.2合わせて6個飛行隊が装備しています。
1955年から実戦部隊での運用が行われているビッカース・ヴァリアントは、ヴィクターとヴァルカンの配備により戦略核攻撃任務を両機種に譲り、キャンベラ中型爆撃機に代わってNATO最高司令部指揮下の戦術核攻撃任務への転換が図られています。
1961年末時点ではNo49. 148. 207.の各飛行隊がその任務に就いているようです。
これら爆撃機が搭載する核爆弾は、イギリス国産のブルーダニューブ(重量約5トン、核出力12キロトン)とバイオレットクラブ(重量約4.4トン、核出力400ないし500キロトン)、そして「バイオレットクラブ」搭載の兵器級高濃縮ウランコアの「グリーングラス」を新設計の弾体に搭載した「イエローサンMk.1」(重量約3.3トン、核出力はバイオレットクラブと同一)に加えて、前回に述べた「プロジェクトE」に基づいてアメリカから供給される各種の核爆弾です。
それらに加えて、イギリス国産の空対地核ミサイル「ブルースティール」(核出力1.1メガトン、最大射程約240km)とイギリス最初の実用型水素爆弾「イエローサンMk.2」(重量約0.77トン、核出力1.1メガトン」、戦術核爆弾(原子爆弾)「レッドベアード」(重量約0.75トン、核出力15~25キロトン)が間もなく実戦配備を開始という状況です。

1951年から実戦配備されている傑作ジェット中型爆撃機のキャンベラは、No18飛行隊が1961年9月に解散したことで、ボマー・コマンドから引退しています。
1961年末時点で実戦配備されているキャンベラ爆撃機の配備状況は、在独イギリス空軍(RAFG)に5個飛行隊(No3. 14. 16. 21. 88.の各飛行隊)と、キプロスに展開する近東空軍司令部指揮下の4個飛行隊(No6. 32. 73. 249.の各飛行隊)、シンガポール駐留の極東空軍指揮下のNo45飛行隊の計10個飛行隊になっています。
五年前の1956年末時点では推定25個飛行隊で実戦配備されていたので、当時の軍用機の第一線寿命の短さを痛感させられます。

偵察機部隊:推定11個飛行隊
ビッカース・ヴァリアントB(PR).1 飛行隊 x 1個(No543飛行隊)
イングリッシュ・エレクトリック・キャンベラPR.7/PR.9飛行隊 x 8個(No13. 17. 31. 39. 46. 58. 80. 81.の各飛行隊)
ホーカー・ハンターFR.10飛行隊 x 2個(No2. 4.の各飛行隊)

ボマー・コマンドに所属する長距離偵察部隊として、No543飛行隊がヴァリアント装備で任務に就いています。
爆撃任務からは順次退きつつあるキャンベラは、高高度偵察任務では依然として顕在。
これにとって代わる適当な機体が存在しないので、この後も永く偵察機として生きながらえることになります。
低空戦術偵察機では、スーパーマリン・スイフトFR.5の後継機として、ホーカー・ハンターF.6を改造した武装偵察型のハンターFR.10が60年から配備され、2個飛行隊がRAFGに配備されています。

海上哨戒部隊:推定11個飛行隊
アブロ・シャクルトンMR.3飛行隊 x 2個(No201. 206.の各飛行隊)
アブロ・シャクルトンMR.2飛行隊 x 8個(No37. 38. 42. 120. 203. 204. 210. 224.の各飛行隊)
アブロ・シャクルトンMR.1A飛行隊 x 1個(No205飛行隊)

イギリス空軍沿岸軍団(コースタル・コマンド)指揮下の海上哨戒部隊の使用機材はアブロ・シャクルトンで統一されていて、イギリス本土に展開しているのは7個飛行隊(No42. 120. 201. 203. 204. 206. 210.の各飛行隊)で、No37飛行隊はイエメンのコルマークサル、No38飛行隊は地中海のマルタ、No205飛行隊はシンガポール、No224飛行隊はジブラルタルにそれぞれ配備されています。
1956年から配備が始まったシャクルトンMR.3は、着陸装置をそれまでの尾輪型から機首輪型に変更、プロジェクトEに基づいて米国から提供される核爆雷Mk101への対応、居住性の大幅向上、燃料搭載量増などの改良を施したタイプですが、機体構造の強化がこれら施策に追いついていなかったようで運用寿命が大きく減ってしまったとのこと。
それがあってかシャクルトンMR.3は大成できずに、一世代前のMR.2がアップグレードを逐次施されながら、次世代のジェット海上哨戒機ニムロッドの登場まで、イギリス空軍海上哨戒戦力の主柱を担い続けたのです。

大型輸送機部隊:推定10個飛行隊
アームストロング・ホイットワース・アーゴシー飛行隊 x 1個(No114飛行隊)
ブラックバーン・ビバリー飛行隊 x 5個(No30. 34. 47. 53. 84.の各飛行隊)
ハンドレページ・ヘイスティングス飛行隊 x 4個(No24. 36. 48. 70.の各飛行隊)

RAF輸送コマンド指揮下の大型輸送機は、従来からの主力機ブラックバーン・ビバリーとハンドレページ・ヘイスティングスに加えてアームストロング・ホイットワース・アーゴシーの配備が開始されています。
双発中距離輸送機のビッカース・バレッタの後継機として採用されましたけれど、2,440馬力を発揮するターボプロップエンジン四基を搭載したその姿は小柄なバレッタとは異なる堂々てるものであります。
最大離陸重量は約47トンで、ビバリーの約65トンよりは軽量ですが、最高速度はビバリーの約380km/hに対して本機は約430km/hと優速。
バレッタというよりはヘイスティングスの後継機的な位置で、最終的に6個飛行隊に配備されることになります。

空中給油機部隊:推定2個飛行隊が転換中
ビッカース・ヴァリアントB(K).1 飛行隊 x 2個(No90. 214.の各飛行隊)

戦略核攻撃任務から外れたヴァリアントの一部は、RAF初の空中給油機に転身。
No90とNo214飛行隊が任務転換の途上にあり、翌年春から空中給油飛行隊として任務に就くことになります。

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