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2018年2月 6日 (火)

イギリス海兵隊大幅削減という話

備忘録的に・・・
昨日、公共放送BSで流しているイギリスBBCニュースの中で、
「イギリス海兵隊の大幅削減と揚陸艦二隻の退役」をイギリス政府が計画していて、議会から反対の声が上がっているとの事。
国防費の更なる削減策の一環のようですが、海兵隊の大幅削減と揚陸艦の退役という話は戦闘機部隊の削減などとは次元の違う、イギリスの国防政策上非常にマズい話なのではないかと思うところ。

イギリス海兵隊は現在一個旅団規模の戦闘部隊を有していて、その錬度の高さ、作戦遂行能力の高さはつとに知られているところです。
アメリカ海兵隊のような正規の水陸両用部隊というよりは、半ば特殊部隊に近い性格でイギリスの紛争緊急対応において欠くべからざる戦力です。
報道では単に「大幅削減」と言っていたので、現在七千人規模の海兵隊をどれほど削るつもりなのかはまだ明らかではないのですけれど、海兵隊の海上機動を担保するドック型揚陸艦「アルビオン」(2003年6月就役)と「フィアレス」(2004年12月就役)を退役させるとなれば、この二隻で運べる最大1,420名の戦闘部隊は削減することになるのでしょう。
後方支援を含めれば3,000人以上の削減、つまり海兵隊の人的規模を現在の半分にまで減らすつもりなのかもしれません。
「アルビオン」と「ブルワーク」を葬ってしまうと、イギリス海軍に残る揚陸艦は現在建造中の新型空母「プリンス・オブ・ウェールズ」のみになります。
(補助艦隊に在籍するベイ級揚陸艦は戦闘艦艇とは呼べないので除外)
「プリンス・オブ・ウェールズ」は2017年末に就役した新型空母「クイーン・エリザベス」の同型艦で、現在就役中のヘリコプター強襲艦「オーシャン」(1998年9月就役、2018年退役予定)の後継となるフネ。
F-35B戦闘飛行隊と海兵隊を乗艦させる所謂「ハイブリット・キャリアー」になる予定です。
ここで視点をイギリス海軍側に移して見ると、「プリンス・オブ・ウェールズ」の乗組員定数は679名(航空要員と海兵隊は除く)です。
ここで考えておかねばならないのは、この乗組員をどうやって捻出するか?
「クイーン・エリサベス」の場合は2014年に退役した軽空母「イラストリアス」(乗組員定数685名)分の人的プールから汲み上げて充当したのかもしれません。
しかし「プリンス・オブ・ウェールズ」の場合、この艦の就役に伴って退役する「オーシャン」の乗組員定数は285名に過ぎないのです。
つまり400名近い乗組員の不足です。
駆逐艦やフリゲートはもうギリギリまで削り込んでしまっていて、これ以上の削減は無理となれば人的プールの財源を他に探さねばなりません。
するとどうでしょう、「アルビオン」と「フィアレス」の両艦乗組員総数は650名で、この二隻を削れば「プリンス・オブ・ウェールズ」の乗組員を充当してさらにお釣りが来るのです。

勿論これは単なる架空の数合わせで、艦艇乗組員の人的プールには2011年に退役した軽空母「アークロイヤル」の分もまだ残っているのかもしれません。
「クイーン・エリザベス」級空母は本来「イラストリアス」と「アーク・ロイヤル」の後継として就役するはずだった艦ですから、七年前に退役した「アーク・ロイヤル」の乗組員枠は何らかの形で残している可能性はあります。
しかしイギリス海軍としては今後、カネのかかる新空母二隻の運用に加えて、軍事面においてイギリスが大国である数少ない証になっている戦略原潜の更新も実施しなれければなりません。
現在就役中の「ヴァンガード」級の後継としては2028年に一番艦就役のスケジュールで「ドレッドノート」級計画が進捗していて、今後もし労働党が政権を奪取しても隻数の削減はあり得るにせよ計画自体は粛々と進めていくものと思われます(やはり雇用面での影響力は大きいのです、BBCニュースを見ていると実感しますわ)。
今後十数年間にこのような大金を投じるプロジェクトが控えていて、国防費は削減傾向が止まらず。
その中で予算減らしの特効薬で人減らしとなれば、海軍としては所詮二義的な存在に過ぎない海兵隊用の揚陸艦の切捨てに目が行くのはやむを得ないところかと。
フォークランド紛争の直前にも、国防費削減策の一環で当時在籍していた強襲揚陸艦「フィアレス」と「イントレピッド」を退役させる予定だったという過去もあります。

イギリス議会は賢明にも海兵隊の大幅削減と二隻の揚陸艦退役に反対しているので、政府の思惑通りに事が運ぶかは不透明。
削減はやむを得ないところなのでしょうけれど、結論は「アルビオン」と「ブルワーク」のどちらかを現役で残してその乗艦相当分の海兵隊削減に落ち着くのではと思うところです。
でもイギリスはこうだと決めたら即実行しますからね・・・。
「アーク・ロイヤル」なんて話が出てからアッという間に退役させられちゃいましたし。
日本の役所仕事では考えられない電光石火の早業でしたわ。
そして日本にとって気になるのは、退役するドック揚陸艦の売却先です。
艦齢はまだまだ若いので、購入に名乗りを上げる国が出てくるのは確実でしょう。
インドやブラジルあたりならよいのですけれど、中国だった場合はかなり危険な話になります。
もし退役が決まっている「オーシャン」も一緒に購入されると、近い将来の中国海軍の両用戦能力は大幅に向上し、南シナ海は勿論我が国の尖閣はもとより先島諸島も相当な圧力を受けることになるやもしれません。
イギリスのメイ首相は先日中国を訪問して、大型商談が成立してチャイナマネーの引込みに大喜びしているようです。
EU離脱後に向けて中国との関係を更に強化する方針だそうで、それが軍事面にも影響しないかと非常に気になるところなのです。
世の中所詮はカネですからな。
私はイギリスという国は好きですが、有色人種に対するイギリス人のやり口は全く信用していません。

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