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2016年5月 3日 (火)

越後田沢駅(飯山線)

本日の駅紹介は、飯山線・越後田沢駅。

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新潟県十日町市に所在する無人駅で、開業は昭和2年(1927年)10月6日。
飯山鉄道の駅としての開業でした。
開業時の所在は中魚沼郡田沢村で、同村唯一の鉄道駅にして玄関駅です。
田沢村は昭和30年3月末に隣接する倉俣村と合併して新自治体の中里村になりましたが、中里村の中心地区は旧田沢村のそれであり、越後田沢駅の村唯一の鉄道駅であり玄関駅という立ち位置も不動でした。
中里村は2005年4月に周辺町村と共に十日町市と合併し、装いも新たになった十日町市の南西地域となって今日に至ります。

中里村史によると飯山鉄道の当初の計画では、越後鹿渡駅から現在の国道353号線沿いを進み、宮中ダムの手前で信濃川を渡って河畔を進んで越後水沢駅近くで現在線に合流する予定だったようです。
これだと越後田沢駅は、現在の位置より500m程北の信濃川の手前に作られることになります。
しかしそれだと駅は田沢村の中心集落から1kmも離れてしまうことになる為、田沢村は村内のルート変更の請願書を会社に提出します。
村の主張は、会社の当初計画よりも村提出の計画(現在線)の方が工事が容易で工費も安く、村の中心に近い位置に停車場を設けられて理想的な形になるとの事でした。
この主張は飯山鉄道も納得するところで、この請願を受け入れる形で鉄道の田沢村村内のルート変更が実現したのです。
現在線も信濃川と清津川の合流地点付近を鉄橋で越えた後、すぐトンネルに入りますから工費はそれなりにかかったと思われますが、それでもこのルートに変えたということは、信濃川対岸から急カーブで信濃川を渡る当初計画の厳しさを窺い知れます。

十日町市史によると、越後田沢駅の昭和40年一日平均乗車人数は471人。
同年の十日町駅の約二割で、当駅と同じく当時の準急「野沢」停車駅の津南駅よりもやや多かったのです。
471人というと、現在の十日町駅の飯山線乗車人員に匹敵する数字。
土日の日中はホームに人影を見ることもない現在の姿からは想像できないところです。
一方、貨物の取り扱いトン数では津南駅の約四割で、この辺は中魚沼郡内の中心地区であった津南町と中里村の自治体としての勢力、人口規模の差がはっきり出ています。

十日町市史には平成四年までの乗車人員が載っていますが、平成四年の時点でも津南駅と越後田沢駅の数字はほぼ互角で、十日町駅を除けば下条、津南、そして当駅が飯山線下条-足滝間で常に突出した数字でした。
しかし現在、津南駅は温泉施設と併設になり委託による有人維持で、かつての急行列車停車駅のメンツも保たれている形ですけれど、当駅は90年代前半に無人化されて久しく、かつての急行停車駅としての面影は構内の列車交換設備跡としっかりした造りの上屋に僅かに見出すのみなのです。
2014年度の津南駅一日平均乗車人員は106人で、平成四年当時よりやや上向いているのですけれど、越後田沢駅の場合はおそらく半分以下になってしまっていると思われます。
やはり列車で来ようかと思わせる集客施設や景勝地が当駅の至近に存在しないのが、津南駅と当駅に駅勢地域の人口規模以上の差が付いてしまっている最大の要因なのでしょう。

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越後田沢駅駅舎の様子、2011年5月撮影。
建築財産票は確認出来なかったのですが、ウィキペディアによると2001年に改築されたようです。
豪雪地帯の建物の常として、屋根の傾斜は極めて急です。

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越後田沢駅駅舎内部の様子、2011年5月撮影。
飯山線の新潟県内区間の他の無人駅と全く異なる造りです。
待合室内は小奇麗で居住性も良好。
来訪者にとって何より有り難いのは、水洗トイレが設置されていることです。
飯山線の新潟県内無人駅でトイレがあるのは当駅のみ。
トイレの心配をせずに済むのは、駅巡り者にとっては大いなる福音です。

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待合室内に飾られている、越後田沢駅旧駅舎の写真。
2011年5月撮影。
この駅舎が現役だった時代、この駅には急行「野沢」が停車していたのですな。

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駅舎からホームへは構内通路で連絡しています、2011年5月撮影。
短い島式ホームと構内通路はかつての飯山鉄道が作った駅の証です。
飯山線内の新潟県内区間の無人駅で、現在「生きている」?線路を横断していくのは越後田沢駅のみ。


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ホームから見た越後田沢駅駅舎、2011年5月撮影。

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越後水沢駅方から見た越後田沢駅ホームの様子、2011年5月撮影。
上屋はしっかりした造りで、他の無人駅とは格が違います。

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ホーム端から越後水沢駅方を望む、2011年5月撮影。
ホームの有効長は4両ですが、飯山線の旅客列車は国鉄時代でも最長でこの程度。
現在は基本的に単行です。

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越後鹿渡駅方から見た越後田沢駅ホームの様子、2011年5月撮影。
少々見辛いですが、上屋の下(ホーム右側)にベンチがあります。
ベンチの数は6脚で他の無人駅より多いのも、当駅の格の違いからか。

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ホーム端から越後鹿渡駅方を望む、2011年5月撮影。
画像左下が駅舎との連絡通路です。

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構内通路から越後水沢駅方を見る、2011年5月撮影。
かつては列車交換可能な島式ホームであった越後田沢駅も、現在は棒線化されて不要になった側には無常にも白い柵が設置されています。
横取線が残っているのがかつての隆盛の僅かな残照と言えましょうか。
昭和60年3月改正ダイヤを見ると、当駅では一日6回の定期旅客列車の交換が行われていました。
当時の津南-十日町間の定期旅客列車本数は急行2本、普通列車は下り8本、上り6本で、同区間の列車交換機会(十日町駅を除く)7回のほとんどはここ越後田沢駅で行われていたのです(残り1回は津南駅)。
かつては良好な利用状況に加えて運転面でも飯山線内で枢要な位置にあったからこそ、現在の閑散過ぎる状態はローカル線の衰退をそのまま具現化しているようで、只見線の越後須原駅と並んで非常に考えさせられるものがあります。

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線路脇の小道から越後鹿渡駅方を見る、2011年5月撮影。

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越後田沢駅ホームの名所案内板、2004年9月撮影。
どこも駅から相当に離れているのです。

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越後田沢駅を出発するキハ110単行の戸狩野沢温泉行、2011年5月撮影。
飯山線の全ての定期旅客列車はキハ110なので、車両的には全く面白味がないのです。
単行が常のこの区間ではなおの事。

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越後田沢駅を通過するキハ58系2連の「なつかしの急行野沢」号、2004年9月撮影。
昭和61年11月ダイヤ改正で廃止された急行「野沢」は三連で、この駅に停車してたのです。

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越後鹿渡方の踏切から見た越後田沢駅構内の様子、2011年5月撮影。
横取線はこちら側とのみ繋がっています。

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駅裏から見た越後田沢駅の風情、2011年5月撮影。

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越後水沢方の踏切から見た越後田沢駅構内の様子、2011年5月撮影。
線路が不自然に曲がっているのが、当駅がかつて列車交換設備を持っていた事の証です。

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越後田沢駅前の様子、2011年5月撮影。
駅舎の左手に見えるのはヤマザキショップで、この時点では0700~2000の営業でした。
駅至近の買い物処として、周辺の方々にも私のような来訪者にも貴重な存在です。

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越後田沢駅から500m弱で国道117号線に出ます、2011年5月撮影。
かつての田沢村~中里村の中心街で、日常生活に必要な店舗がぎゅっとまとまって立地しています。
駅からは少し距離がありますが、セブンイレプンも国道の十日町寄りにあります。

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国道を走る南越後観光バス運行の津南発十日町行路線バス、2011年5月撮影。
30分~一時間に一本の高い運行頻度で、運賃こそ鉄道よりも高いものの利便性は過疎ダイヤの飯山線の比ではありません。
実際、土日に乗車してみても乗客はそこそこいるのです。
病院にダイレクトに行けるのが高齢化過疎地域のバスの最大の強みで、飯山線が逆立ちしても勝てないのはこの辺りの事情でしょう。

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この日の主たる目的は、JR東日本の信濃川不正取水事件で有名な宮中ダムの見物です、2011年5月撮影。
越後田沢駅から国道353号線を進み、飯山線を渡って行きます。
田植えを終えたばかりの田圃には水が満々。

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宮中ダムの様子、2011年5月撮影。
宮中ダムは昭和13年の完成で、ここで取水された水は下流の水力発電所群で発電に利用され、JR東日本の首都圏の電車運行に多大の貢献をしているのです。
東京を初め他県では大きな話題にならなかったでしょうけれど、JR東日本によるこのダムの不正取水事件は新潟県内では大きく取り上げられたのです。
田舎を軽く見られているようで、県民としては極めて不愉快な話でしたなぁ。

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信濃川に架かる国道353号線の宮中橋、2011年5月撮影。
宮中ダムの画はこの橋上から撮ったものです。
越後田沢駅からここまで約2km半です。

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宮中橋上から下流(十日町方)を望む、2011年5月撮影。
画像左手の建物は日帰り温泉の宮中島温泉こと「ミオンなかさと」。
サイトを見ると、鉄道でのアクセスは十日町駅下車でおクルマとなっています。
物理的な距離での最寄は越後田沢駅なのですけれど、アクセス手段としては飯山線は全く眼中に無しの様子。
歩いて3km程度ですけれど、まぁ温泉に行くのにそんなに歩く人は私ぐらいかw
なお、宮中地区には十日町駅前-中里-田代間の南越後観光運行の路線バスが走っていて、十日町-宮中間は2016年4月ダイヤ改正では通年一日3往復です。

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