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2008年2月16日 (土)

タイタンでメタン燃料ロケットの夢叶うか

欧州宇宙機関(ESA)はこのほど、土星最大の衛星タイタンには地球における
石油・ガスの確認埋蔵量の何百倍にも上る炭化水素が液体の状態で存在して
いることが分かったと発表したそうです→http://news.livedoor.com/article/detail/3510989/

タイタンは太陽系の数ある衛星の中でも、木星の衛星ガニメデに次ぐ第二位の
座を占める巨大衛星で、その直径は惑星である水星のそれを上回っており、
月のそれと比較して約五割大きいと言えば、そのスケールが多少は理解される
でしょうか。
タイタンは窒素と少量のメタンからなる厚い大気を持ち、その表面重力は地球
のそれの約1.6倍。
液体メタンの雨が降り、メタンの川や湖が存在すると考えられています。

私の認識でタイタンと言えば、波動エンジンのエネルギー伝導管の製造補修
に不可欠なレアメタル「コスモナイト」を太陽系内において唯一産出する天体
であり、第一次外惑星動乱では外惑星連合構成諸国の中で真っ先に
降参した意気地なしのヘタレ野郎な星なんですがw。
また私がやんごとなき紅顔の小学生の時分には、学校の図書館に「チタ
ン(タイタン)の亡霊人」というSF小説のジュブナイル版が置いてありましたっ
け。
生憎スペオペ命の私はサレ光線砲なるトンデモ兵器を載せた地球の宇宙船
が、太陽系に攻めてきた宇宙の悪者をかたっぱしからボコって回る本
などに夢中でついぞ目を通す事はございませんでしたがw。

・・・と雑談はさて置き、タイタンに液体メタンが、それも雨になり川や湖をも作
り出す量が存在する事から、相当な量のそれ(メタンも当然炭化水素の一つ
)が存在するのは当然の話でしたけれど、そのメタンを含む炭化水素の総量
が地球の確認埋蔵量の何百倍というスケールの大きさにはビックリ仰天! 
直径で地球の約4割の大きさにしてこの炭化水素の埋蔵量ですよ、ホントどん
だけ~な話なのでございます。

さて遠い将来、人類の太陽系開発が進んで土星系が本格的に開拓されるように
なると、タイタンに大量に存在する炭化水素は開拓の初期段階において重要な
資源になるかもしれませんね。
厚い大気が有害な宇宙線や隕石に対する天然の防護壁になっているタイタンを
、人間が恒久的に滞在する土星系開発のメインベースとした場合、タイタンで
生産された各種資材の周回軌道や土星系の他の衛星への安価な輸送手段とし
て、タイタンの炭化水素、とりわけメタンを燃料とする化学推進ロケットは魅力的
かなぁなんて門外漢の私は妄想をめぐらせますです。
土星系に開発の手が及ぶ頃には、少なくとも有人宇宙船の惑星間航行について
は原子力推進が常識になっているでしょうけれど、タイタンのように重力の比較
的大きな天体の地表から周回軌道へのペイロード投射には、比出力の大きな
化学推進はなお有効な手段であろうと思われます。
(大気圏内において原子力推進を行う事の安全性に対する懸念は置いておくと
しても、相当に先進的でエレガントな核融合推進でも、比出力は化学推進と大き
な差は無いと思われます。周回軌道への打ち上げコストについてはいわずもが
な。もちろん惑星間航行において重要な指標である比推力については、例え
最初期の原子力推進=核分裂推進であってもいかなる化学推進より数段勝っ
ておりますが)
また土星系内のような比較的近距離で、且つ速達性を求められないコスト重視の
貨物輸送においても、化学推進はやはり有効な手段の一つではないかと感じら
れます。

私が定期購読している雑誌「軍事研究」3月号ではちょうどタイミング良く、
航空機やロケットの燃料としてのメタンについての記事が載っておりました。
それによるとNASAが有人火星飛行での利用を見据えたメタン燃料エン
ジンの開発も、我が国が安価で手軽なミドルクラスの打ち上げ機用として開発
に取り組んだ、メタンを主成分とする液化天然ガス(LNG)燃料エンジン開発
もうまくいっていないようです。
前者はエンジンの予備試験段階で技術的難関に突き当たり、後者はLNG燃料
と酸化剤の混合がうまくいかずに不完全燃焼を起こすのだそうです。

現状では実用化はまだまだ先の話で、確実に作動する燃料の着火システムなど
これから一つ二つのブレークスルーが必要なメタン燃料エンジンですが、液体
メタンと現在打ち上げロケットのエンジンにおいて最もポピュラーな燃料である
液体水素と比較するとその密度は前者が後者の六倍(液体メタンのほうが
液体水素よりも燃料タンクの容量を小さく出来、当然ロケットの重量軽減に繋が
る)、沸点は前者が-162℃、後者が-252.6℃で、メタンの方が燃料タンク
の面倒臭い断熱処理の手間が少なくて済むなど、打ち上げコスト低減に繋がる
要素を多々持っておりまして、無尽蔵なメタンをタイタンに抱え、ロケットの生産
能力も当初は限られたものでしかないであろう土星系においては、燃料も酸化
剤も自家調達(酸化剤の液体酸素はタイタン以外の衛星で採集する氷から
作ればいいでしょう)、生産コストも液体水素燃料のそれに比べれば控え目な
メタン燃料推進ロケットは将来、かの地の開発に大いに資するものがあるで
しょう。

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