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2008年1月10日 (木)

祝CD化!狂劇ジキルとハイド

「ばけのかわ」でも何度か取り上げた「恐怖劇場アンバランス」、その
製作局や製作時期、ゴールデンタイムでの放送見送りなど共通点が多々
見受けられるドラマが亡き丹波哲郎御大主演の「ジキルとハイド」。
「怖すぎて」地上波放送が遠慮気味だった「アンバランス」に比べ、こちらは
あまりにアンモラルな作品内容(人間性悪説に立脚したストーリー、毎回繰り
広げられる「ヤツ」の暴力・殺人・レイプシーン)の所為で地上波放送はごく
稀な、「幻のカルトドラマ」ともっぱらの評判です。
ビデオ、LD、DVD共に、過去に一度としてソフト化されていない作品で、
不肖みさっちもそのスチール写真すら一度も見た事がなく、持っている知識
と言えば「夕焼けテレビ番長」という本でのストーリー概説と、ネット上での
いくつかのレビューでしかないのですが・・・
う~ん、見たい見たい見たいYO!!

「アンバランス」の「吸血鬼の絶叫」前フリレビューで、「吸血鬼」に対する
根深い恐怖を抱いていた過去を赤裸々に告白wした私ですが、
そんな感覚の根本となった作品があります。それこそが何あろう「ジキル
博士とハイド氏」。

私の最古の記憶の一つなのですが、よりによってお盆の怪談バヤリな
時期にNHK教育で夜遅く(と言っても22時ぐらい)放送したモノクロ
1932年版「ジキル博士とハイド氏」(フレドリック・マーチ主演)を見て
(ワルいウチの母親が、私のヘタレビビリっぷりを面白がって無理強い
させたというのが適切でしょうか、普段は厳格で夜のテレビなんて全然
見せてくれないクセにさ)しまったのが運の尽きだったんでございまして
・・・(泣)。
眉目秀麗な紳士ジキル博士から、類人猿と人間のあいの子の如き粗野
にしてグロテスクな容貌のハイド氏への変身、夜の闇にまぎれて暗躍する
サディスティックなハイド。
やがてジキルの姿でいる事が困難になり、自分の運命を悟った彼は婚約者
のきれいなおねいさんに悲痛な別れのセリフ。
よよと泣きはらすパツキンのおねいさん。
すると肩を叩く何者か。カレが戻ってきたと思い嬉々として振り返ると、
そこに立っていたのは毛むくじゃらの醜い顔を不気味にニヤつかせたハイド!
(クスリを使わずにあっという間に変身しちゃた・・・)
警官隊に追われて実験室に逃げ込むハイド、皆が踏み込んでそこに見出した
のは憔悴し、苦悩に蒼ざめたジキル博士の痛々しい姿・・・。
「僕はハイドじゃない、ハイドなんかじゃない・・・」と自分に言い聞かせるような
弱弱しい声・・・そう言いながらもその姿は次第に変異して・・・!
最後の悪足掻きに暴れ狂うハイドですが、親友に銃で撃たれ、床へどっと
倒れ伏します・・・。
こときれたハイドの姿は己の中の肥大化した悪と闇から解放されて天に召
された、安らかな死に顔のジキル博士へと戻ります・・・。

何分幼かった頃の事ですので、物語に託されたメッセージなど読み取るだけ
の感受性もほとんど無く、映画から受けた印象の大半はハイド氏のグロテス
クな容貌と行動に対するビジュアル的な恐怖だったのですけれど、その中で
感じた唯一精神的な恐怖・・・。
それは自分の意思に反した二度と戻れぬ「不可逆的な変身」・・・。
(ジキル博士の場合は自業自得の面が大きいですけど)
「吸血鬼」も、「不可逆的変身を強いる存在」としてその延長線上にあります。

一方、私が幼少の頃より抱いている悪いクセが、恐怖の中に破滅的な
甘美さを感じ取って好奇心を抱き、よせばいいのに恐怖の根源へとフラ
フラと近づいていく事w。
「ジキル博士とハイド氏」も、あれだけ怖い思いをしたというのに小学校の
図書館で原作のジュブナイル版(カラーの表紙が鏡に映ったジキル博士、
裏表紙が同じくハイド氏、それも赤黒い顔色で凄まじい形相のヤツ・・・あの
画もかなりエグくてコタえたw)を読んでドツボに嵌まり、幼少時の恐怖が
甦って夜トイレにいけないとか、親が突然怪物に変身しちゃったらどうやっ
て逃げようかと真剣に考えたりとか、おバカな事をやってばっかりでした
なぁ(しばらくして恐怖が薄れるとへっぴり腰でおっかなびっくりまた読んじ
ゃう、そして・・・そんなループを年中繰り返してましたw、学習能力が足りな
いクセに好奇心はいっちょまえなおばかぬこみてーww)。

そんなこんなで「ジキル博士とハイド氏」には特別な思いを抱いている私、
丹波哲郎版「ジキルとハイド」の存在を知ってからは(原作を読んでまだ
間もない頃、新聞のテレビ欄で深夜帯の枠に載っているのを発見)前述の
ように見たい見たい見たい!だったのですが、良縁に恵まれず今日まで全く
未見のまま。
しかし天は我を見捨てず、これぞ天佑! まさに天佑!!
これこそ神風が吹いたという事なのでしょう!!!
これまで一切ソフト化されていなかった作品のサントラCDが昨年十月、奇跡
的にリリースされました!!!!(あらしのような拍手)
・・・もっとも、その事を知ったのは今年に入ってからでして(汗)。
CDの新譜情報を当たっていたら偶然知ったわけで、リリースを知らずに過ご
し、気がついたら絶版でしたという恐ろしい事も十分有り得ました。
日頃の情報収集はやはり怠り無くやるべきですね、自戒自戒。

さてCDを目出度くゲットして、全く未聴のメロディ世界に恐る恐る・・・。
栄えあるファーストトラックのメインテーマは・・・サイケデリックな匂いぷんぷん
なメロディライン、これから主人公・慈木留博士が体験する暴力とセックスに彩
られた「めくるめく素晴らしい」幻想世界への導入部にふさわしい曲になって
おります。
旋律は一度聞いて覚えられるぐらい単調なんですが、その分耳について離れ
ませんね・・・。
また私は音楽は全くの門外漢なのですが、楽器の使い方など同時期
の「アンバランス」メインテーマと同じ手触りですね、音楽的な時代の流行りも
あったのかな?

「ジキルとハイド」は、メインテーマとドラマ内の劇伴とでは作曲者が異なるの
ですけれど、後者もなかなか聞かせてくれます。
直接的な恐怖楽曲が真骨頂の「アンバランス」劇伴に比べ、こちらは我々が
日常生活の中でフト感じる類の不安感を醸し出す曲が印象的。
「慈木留の不安Ⅰ」は見知らぬ土地の街路燈もない人気もない夜道を、あて
もなくひとりきりで歩いているような非常に不安で、心細い感覚を惹起させます。
「慈木留の変身Ⅱ」「慈木留の変身Ⅲ」は真打ちハイド先生ジャンジャジャー
ンと登場!という風で、禁断の変身を遂げた「ヤツ」がむっくり起き上がる様子、
暴発寸前の抜き身の滾る狂気を連想させます。
私的に白眉は「ヴァイオレンス&エクスタシーⅢ」の4曲目かなぁ。
日常のシガラミ全てから完全に解き放たれて天衣無縫にあるいは気まぐれな
ハリケーンの如く暴れ狂う真の自由人「ヤツ」の無限曼荼羅とでも申しましょう
か、他人を蹴り殴って殺しちゃう時の心中って、音にしてみたらこんな感じなん
だろうなぁ。
目の前のモノをぶっ壊す事しかアタマにない、人間の持つ恐らく最もピュアな感情
の発露、余計な音など一切挟まず、単調で叩き付けるリズム・・・。
音だけでも色々想像出来てしまえるからには、実際にドラマで使われているのを
聞いたらさらに凄みを増すんでしょうね。

これで私的ホラー劇伴CDコレクションは「沙粧妙子・最後
の事件」「幻想ミッドナイト」「恐怖劇場アンバランス」「ジキルとハイド」と
大物ずらりと揃い踏み。
願わくば今年は特撮CDコレに「マイティジャック」、アニメCDコレに
「宇宙戦士バルディオス」が加わりますように関係各位にお願いしまっす!

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コメント

「不可逆的変身を強いる存在」・・・
悪の結社の手にかかり、怪人に改造されてしまった女・・・
宇宙人の光線を浴び、同じ姿に変えられてしまった女・・・
狼男に咬まれて意思に関わり無く変身してしまう女・・・
・・・陳腐なSF、ホラーネタですけど不肖私メのフェッチ魂の根源かもしれませぬ。

投稿: といさん | 2008年1月11日 (金) 08時54分

ふぇちを嗜む人間なら誰でも、その根源となった原体験や
トラウマがあるものです。
それら臭いモノに蓋をして知らぬ顔の半兵衛を決め込み、
「わたしってば可愛い可愛い着ぐるみなんですぅ~♪」
なんて上っ面や表層で物事を捉えるのはなんだかなぁ~と
私は常日頃から思っています。
ふぇちの根源をある程度は開示してみせる、そういう言動を
続けて行く事でふぇちも血となり肉となり、地に足の着いた
その深層に至るまで凛として確固たるモノになるのであろうと存じます。

投稿: みさっち | 2008年1月11日 (金) 23時06分

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