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2005年11月18日 (金)

戦闘機部隊が消滅したフィリピン空軍

フィリピン空軍の戦闘機F-5が去る10月に退役。人口8,200万人の独立主権
国家が防空手段を喪失してしまったそうです。

とうとう来るべきものが来たというか・・・国内で問題になっているイスラム過激派が
9.11のような旅客機テロを起こしても、阻止する手段はないですし(あの国は
地対空ミサイルも確か保有していない)、南沙諸島の領有権をめぐっての中国との
紛争でも、ささやかな抑止手段すら失ってしまいました。
これってかなり深刻な問題なのですが、当のフィリピン政府はこれまで同様
「無い袖は振れない」で済ますんでしょうか。

フィリピン空軍のジェット戦闘機部隊は1957年に米国からF-86Fを40機前後
供与されて3個飛行隊を編成、翌58年には全天候迎撃型F-86Dを20機
供与されて1個飛行隊を編成と。
冷戦激化という時勢もあり、なかなかの戦力充実ぶりを見せていました。
加えて米空軍の戦闘飛行隊も駐留していましたから、国土防空は十分満足のいく
ものだったでしょう。
その後1965年に、今回退役したF-5A/Bを22機供与されて1個飛行隊を編成
しています。
先述したF-86Dは69年に退役、これとF-86Fに代わる戦闘機として米海軍を
退役したF-8Hを78~9年に25機購入し、1個飛行隊を編成。
80年代はF-5x1個飛行隊とF-8Hx1個飛行隊、加えて駐留米空軍のF-4E
/Gx2個飛行隊。
米空軍の駐留による抑止効果は絶大ですから、当時南沙諸島の問題でモメはじめ
ていた周辺各国も、おいそれと挑発行為には出られなかったでしょう。

冷戦が終結、更にフィリピンの民族意識の高揚、ピナツボ火山噴火による米軍基地
被災もあいまって、米軍は1990年代初頭に撤退、元々中古品だったF-8Hも
退役すると、フィリピンの防空に当たる戦闘機部隊は、F-5装備の1個飛行隊のみ
に(しかもレーダー無しなので夜間迎撃はかなり無理がある)。
南沙諸島では中国が傍若無人な行動をとり始めますが、海軍の洋上戦闘力が無き
に等しいフィリピンには有効な阻止手段をとれるはずもなく、F-5飛行隊の存在のみ
が、ごくごくささやかながら、対中抑止力をになっていたとも言えましょう。

フィリピンもこのような国防の危機的状態を座して見ていたわけではなく、かつてアキ
ノ政権時代にはF-16導入の話も出てきていましたし、イスラエルから中古のクフィ
ル戦闘機導入も検討していたようです。
しかし結局は、乏しい財布の中身と優先順位(国内の反政府勢力対策が最優先)
の関係上、見送りを続けた結果、とうとう今日の事態を招来してしまいました・・・。

フィリピン・・・衆愚政治で貧富の差は相変わらず、国内ではイスラム過激派が暴れ、
加えて自前の防空手段を完全喪失・・・あれだけの規模の島嶼国家でこのような
状態、国家のカントリーリスクがさらに悪化し、外資の呼び込みも鈍くなって一層の
経済低迷→イスラム過激派に燃料投下→国内大混乱なんて事に繋がらなきゃいい
けど。
外資はシビアですから、自国を守る最低限の戦力すら持たない国なんて、よほどの
資源持ちでもなきゃカネを落としませんよ。
わが国にとっても、あの国がそのような惨状に陥るのは国益にマイナスかと。
「たかが戦闘機の退役如き」というなかれ、先々やっかいな問題に繋がりかねない
事なのであります。

いずれは戦闘機を買わなきゃならないだろうけど、あの国の国防予算じゃ、中古の
F-16でさえ無理っぽいもんなぁ。
ASEANの仲間や韓国に泣きついて、これら諸国でそろそろ退役時期を迎える
F-5E/Fを激安価格で譲って貰う以外にないかなぁ。
でも仮にそうしても、10年も経てばまた同じ問題がなぁ・・・

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コメント

おひさです。
米軍の本部が沖縄に来るそうで、日米軍事同盟が結ばれたようですが、小泉さん、コソッと思い切ったことやりますけど、イラクに戦争に行ったときもそうでしたが、今度も今アメリカと軍事同盟結んでどうするんだって気がしますが、どう思われます?

投稿: ヨ-コ | 2005年11月19日 (土) 08時29分

米国との軍事同盟は日本の安全保障にとって必要不可欠だと思いますが、向こうの要求を飲むだけではなく、こちらからの要求もはっきり主張するべきなのは先述しました。

日本としてはこの財政難のおり、米軍への協力・協同に更なる出費を強いられ、ただでさえ先細りの国土防衛用の戦力整備に影響が生じそうです(防衛予算自体は現状維持できれば上々という状態ですから)。
日本が米軍の後方支援に、これまで以上に
積極的に関わっていくのであれば、米軍もまた日本防衛により積極的に関わるというのが
ギブ&テイクな同盟のあり方というものですが、果たして米軍(米国)にそういう意思がどれほどあるのかちょっと不安、また日本側からその辺強く主張して相手を納得させているのかすごく不安です・・・。
また、このような問題について日本国内で大きく報道されておらず(そんな事に興味ない人が大半というのもありますが)、粛々と事が進められている感が否めません。

投稿: みさっち | 2005年11月20日 (日) 16時05分

日本がどこから攻め込まれるというのでしょう?
唯一は例の国ですが、それなら自衛隊の方が強いです。サッカーのランキングより、自衛隊の方が国際的に実力上でしょう。
戦争する相手がいなくなって、アメリカでさえテロが戦争なんだってこじつけてる時代で、今の自衛隊の単独の力以上に軍事力を強化は意味ないんじゃないですか?
その上、強化した軍事力はアメリカのためだけに使われ、日本のためには使われるわけないんですから。

投稿: ヨ-コ | 2005年11月21日 (月) 08時08分

ご心配なさらずとも、このままいけば20年後には日本の従来型防衛力は激減・激落していますのでどうかご安心を。
減耗していく装備の更新もままならない状態になりますから、戦力規模が現在の半分以下になっていたとしても驚く事ではありません。敵の弾道ミサイル攻撃にはある程度対処できるかもしれませんが、通常の武力攻撃や特殊部隊による同時多発的攻撃には対処できなく
なっていると思われます。MDと米軍の後方支援能力以外は鼻血も出ません。
尖閣を中国に占領されようが、対馬を韓国に占領されようが、「遺憾である」と言う以上の事は何もできないかもしれません。
陸自の兵員数も予算削減=まず人件費減らしという事でドンと減らされ、災害派遣すらままならない状況になっているでしょうね。私の住んでる田舎などは将来大地震に襲われても「地方の事は地方でやってちょうだい!」になるでしょう。

投稿: みさっち | 2005年11月21日 (月) 22時36分

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